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Monday, February 24, 2020

フィンランド旅4~ホットチョコレートを飲みに行かねば~|前進する日もしない日も(幻冬舎plus) - Yahoo!ニュース

益田ミリ (イラストレーター)

 タリンの旧市街地の説明によく使われているキーワード。それは「中世の面影」や「おとぎ話の世界」である。城壁、塔、石造りの壁。時代は違うが、映画「千と千尋の神隠し」をヨーロッパ編でやるならこの場所がぴったりだ。古いけど美しい。かわいらしいけどちょっと怖い。

そう、ちょっと怖いのがおとぎ話的なのだと思う。

土産物屋が並ぶ商店街から一本小道に入る。静かで人通りもない。なのに何かに見られているような気がする。古い木の窓や錆びた鉄格子がついた地下室の窓。角を曲がる前は一瞬躊躇するのだけれど、曲がってみれば美しい石畳の街がつづいている。

さてさて、クリスマスマーケットである。ラコヤ広場のクリスマスマーケットは、立ち止まらずに見て回るだけならたぶん10分もかからない。屋台の数でいうなら小規模である。

けれど、暗くなるにつれてどんどん人が集まってにぎやかに。大きなクリスマスツリーの前ではたくさんの人が写真を撮っている。人々の吐く息と、食べ物の屋台からあがる白い湯気がふわっふわっと咲くのが見えた。

ノンアルコールのホットワインがあったので買ってみた。テーブルに干しぶどうやカットしたオレンジが置いてあり、お店の女の子がホットワインに入れるよう言ってくれた。ほのかな酸味。香辛料でちょっとスパイシー。両手を温めながらマーケットをゆっくりと歩く。シベリアンハスキー柄のミトンを見つけてひとつ買った。

そうだった。チョコレートドリンクを飲みに行かねば。前回時間がなくて寄れなかったカフェがあったではないか。 

マーケットを離れ、通りから中庭に入ったところに店はあった。わかりにくくて何度か前を通り過ぎたあとに発見した。わたしと同じようにガイドブック片手に行ったり来たりしている日本人カップルがいたので教えてあげたかったが、彼らの姿は見当たらなかった。

店に入る。アンティーク調の家具が置かれていた。ホットチョコレートは歯が浮くくらい甘かったが「行けた」ことに大満足! もう、これで心残りはない。

旧市街を出て船のターミナルへ。途中、二度ふたりの若者に道を教えてもらった。みな親切だった。

ヘルシンキに到着後はトラムに乗ってホテルまで。おなかはさほど減っていなかったので、地下のスーパーに寄ってインスタントのカップスープを買う。

スーパーの客のほとんどがキャッシュレスだ。わたしもこの旅ではコーヒー1杯でもクレジットカードで支払ってみた。簡単でいいなぁと思う反面、お金を一日にいくら使ったのかがぼやけ、それを考えることすら面倒になっていた。

ホテルの部屋で湯を湧かし、カップスープの晩ごはん。チーズ味。ショートパスタが入っていた。おいしかったので旅の間に5個くらい買い足して土産にした。

■益田ミリ(イラストレーター)
1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に、漫画『すーちゃん』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『週末、森で』『きみの隣りで』『今日の人生』『泣き虫チエ子さん』『こはる日記』『お茶の時間』『マリコ、うまくいくよ』などがある。また、エッセイに『女という生きもの』『美しいものを見に行くツアーひとり参加』『しあわせしりとり』『永遠のおでかけ』『かわいい見聞録』や、小説に『一度だけ』『五年前の忘れ物』など、ジャンルを超えて活躍する。

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February 24, 2020 at 04:00AM
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