呼吸から出る、飛沫(ひまつ)よりも小さな粒子はマスクをどのくらい通り抜けているのか。理化学研究所の研究チームが、マスクを通過する粒子の大きさと数を測る実験をしたところ、素材によって結果に大きな違いが出た。
市中感染が確認された新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」は、ワクチンを2回うっていても感染する恐れがあり、感染対策にどんなマスクを着ければよいのかが、より重要になりそうだ。
新型コロナワクチンが感染を抑える効果は大きく、米疾病対策センター(CDC)は一時、ワクチンを接種した人はマスクを着用しなくてもいいとしたこともある。
飛沫やエアロゾルを通さないマスクは
だが、より感染しやすいとされるオミクロン株が流行しはじめ、マスク着用が再び世界中で呼びかけられている。欧米に比べ日本では以前からマスクを着ける人が多く、日本人の感染が少ない一因ではないか、とも言われている。
新型コロナウイルスは、せきやくしゃみなどで出る飛沫や、おおむね5マイクロメートル(0・005ミリ)より小さな水滴が空気中にただよった状態のもの(エアロゾル)を吸い込むことで感染すると考えられている。
マスクが重要なのは、ウイルスを含む飛沫やエアロゾルを広げたり、吸い込んだりするのを防げるからだ。
マスクがどのくらい小さな粒子まで防げるかを調べたものとしては、スーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションが知られる。
不織布マスクだと、粒子の小ささに関わらず、生地を通り抜ける粒子はほとんどないが、20マイクロ以下の粒子だと顔とマスクの隙間から漏れる割合も多くなるといった結果が報告されている。
ただ、あくまで計算上のもので、実物のマスクがどのくらいの性能なのかを比べた研究は少ない。
水滴をウイルスが含まれた粒子に見立てて
理化学研究所光量子工学研究センターの和田智之チームリーダーらは、微細な水滴をつくる噴霧器と微粒子カウンター(計測器)を組み合わせた装置で、マスクの種類によってどのくらい小さな粒子まで防げるのかを比べた。
噴霧器でつくった微小な水滴をウイルスが含まれた粒子にみたてて、プラスチック製のケースに充満させた。
ケースには10センチ四方ほどの穴があけられている。この穴を、さまざまな素材のマスクのフィルター部分の生地で、隙間ができないように塞ぎ、その先にある微粒子カウンターで、マスクの生地を通り抜けた粒子の大きさや数を計測した。
マスクはウレタン製(2種類)、医療用マスク(2種類)、不織布、布製の計6種類を試した。
最も性能がよいのは医療用マスクで、0・5~5マイクロの粒子をほとんど通過させなかった。
さらに小さな0・3マイクロ以下の粒子についても、通過する量は約1千分の1に減っていた。
不織布や布製マスクもほぼ同様の性能を示した。
一方で、ウレタン製のうち一つでは、生地を通過する5マイクロの粒子数を約10分の1に、2.5マイクロの粒子数を約半分にできたものの、それよりも小さな粒子はほとんど防げなかった。
もう一つのウレタン製は、通過する小さな粒子を数百分の1ほどに減らしていたが、不織布ほどの性能ではなかった。
■「マスクは引き続き重要な対…
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