【都イン(中国貴州省)=山下福太郎】米国の大手企業トップが、3年間のコロナ禍で途絶えた中国への訪問を続々と再開している。中国側は閣僚級が会談するなど異例の厚遇で応じており、投資を呼び込むだけでなく、軍事・外交で対立を深める米政府をけん制する狙いがあるとみられる。
電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は6月1日まで3日間、北京や上海を訪れた。訪中は3年ぶり。ロイター通信によると、
日頃、奔放な言動で知られるマスク氏は中国側に寄り添う姿勢に徹した。秦外相には「中国の人々は勤勉で賢く、発展は当然のことだ」と称賛。「米中互いの利益は切り離せず、デカップリングに反対する」とも述べ、中国事業を拡大する方針を強調した。テスラにとって中国は米国に次ぐ2番目の市場で、最大の自社工場を上海に構える。
マスク氏は傘下に持つツイッターで多数の投稿をしてきたが、現地滞在中は一切の発信を控えた。中国はツイッターなど外国SNSの利用が規制されていることに配慮したとみられる。
5月末には、コーヒーチェーン大手スターバックス、銀行大手JPモルガン・チェースといった米企業のCEOも訪中し、一部で政府高官と会談した模様だ。米半導体エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも、今月に中国を訪れる予定だと報じられている。
こうした巨大市場を狙った北京詣では、今年1月に中国が入国時の強制隔離を撤廃した前後から徐々に本格化した。昨年11月にドイツのショルツ首相が訪中した際、フォルクスワーゲンなど自国の十数社の首脳が同行するなど、欧州企業の動きも目立つ。
中国外務省の
ここ数年、米国政府は自国企業による半導体などハイテク製品の対中輸出を一段と厳しく制限している。中国側には、米国企業と関係を強化し、影響を少しでも緩和したいとの狙いが透ける。今月初め、シンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」では、米国側が米中国防相会談を打診したものの、中国側の拒否で実現しなかった。対米関係で政治と経済を切り分けている様子がうかがえる。
一方、米国と輸出規制で足並みをそろえる日本の産業界や企業は、中国への訪問に慎重な姿勢を崩していない。3月にアステラス製薬の日本人幹部が反スパイ法違反の疑いで拘束された事件も影響している模様だ。
からの記事と詳細 ( 中国側に寄り添うテスラ・マスクCEO、米大手トップの「北京詣で」続々と再開…異例の厚遇 - 読売新聞オンライン )
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