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Tuesday, January 9, 2024

コラム:マスク氏薬物疑惑の波紋、経営トップはどこまで許されるか - ロイター (Reuters Japan)

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コラム:マスク氏薬物疑惑の波紋、経営トップはどこまで許されるか

 1月8日、米企業家イーロン・マスク氏が、新たな問題で厳しい目を向けられている。ロンドンで2023年、代表撮影(2024年 ロイター)

[ニューヨーク 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米企業家イーロン・マスク氏が、新たな問題で厳しい目を向けられている。電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O)や宇宙開発企業スペースXなど、マスク氏が所有する6社の経営幹部や取締役らが、マスク氏の違法薬物常用問題を懸念している、と米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが6日伝えた。

米国では薬物使用が増え、法令や企業の内部規定も緩和されているが、マスク氏だけでなく、経営トップの間で薬物が広がりつつある点は問題だ。特に彼らが実質的に24時間働いている点を踏まえると、どこで線引きするのかを知るのは難しい。

米国のほとんどの州で嗜好品としての大麻使用が合法化されたことで、近年は雇用する側の態度に変化が起きている。米労働省が集めたデータからは、民間企業で従業員に薬物検査を実施している割合は2021年時点でわずか16%と、1996年の半分以下にとどまった。中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)といった政府機関でさえ、優秀な若手の人材獲得に影響が出かねないとして、新規採用者に適用するルールを緩和している、と米紙ニューヨーク・タイムズが昨年4月に報じた。

一方、従業員に対する薬物検査を行った企業の結果からは、使用の広がりが見て取れる。クエスト・ディアグノスティクス(DGX.N)が21年に数百万人分の検査を分析したところ、陽性率は過去20年で最も高くなった。ただ、心の病を治療する目的でケタミンを処方するケースが増加していることもあり、企業はもはや勤務時間外の従業員による薬物使用に厳しい姿勢では臨めなくなった。

マスク氏自身も、うつ症状を和らげるためにケタミンを使っていると明かす。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を開発した新興企業オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、中毒症や他の病気を治療するために、幻覚剤の利用拡大を推進している。

それでも経営首脳が薬物を使用すれば、さまざまなリスクをもたらしかねない。例えば連邦レベルで禁止されている大麻の使用は、政府との多額の契約を台無しにするかもしれない。さらに発信する全ての言葉が市場を動かす可能性があり、常に多忙な企業トップにとって、勤務時間がいつからいつまでか判定するのは困難だ。

アルコールなどと同様に、薬物がパフォーマンスに及ぼす影響は主観的で、判断が容易ではない。平均的なレベルの技術系労働者にとって、勤務時間外の薬物使用は雇用主の注意を引くほどのことでもないだろう。

しかし有力な経営トップの場合、取締役会が定期的な検査や情報開示の義務化を通じて、より確固とした線を引くことが正当化されるのではないか。それなら、違法薬物乱用問題が表面化する前に事態を把握できる。

●背景となるニュース

*米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは6日、事情に詳しい複数の関係者の話として、企業家イーロン・マスク氏がコカインなどの違法薬物を常用していると報じた。マスク氏が率いる幾つかの企業の経営陣の間で、事業への悪影響を懸念する声が広がっているという。

*記事によると、マスク氏の代理人は同氏が薬物検査を定期的に受けており、問題になったことはないと主張している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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