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Monday, December 28, 2020

新規上場企業の調達額、震災以来の低水準-緩和マネーは潤沢 - ブルームバーグ

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新型コロナウイルスの影響にもかかわらず今年の国内の新規上場社数は例年並みの水準となった。新規株式公開(IPO)による調達規模が小粒化したのが今年の特徴だが、過剰流動性や個人資金などがIPOを支える構図は来年も続きそうだ。

  2020年に新規上場した企業は94社。新型コロナの影響で例年より少なくなることを懸念する声も聞かれたが、15年以降の平均的水準を維持した。半面、新規上場による市場の調達額は25日時点で約3497億円と東日本大震災のあった11年以来の低水準となった。半導体メモリーのキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)やスカイマークが業績懸念を理由に上場延期を決断したことが響いた。

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  ブルームバーグデータによると、調達額が最も大きかったのは雪国まいたけの435億円(グリーンシューオプションの未行使分を除く)だ。このほかにも、再上場となった電子楽器の ローランド、ロボアドバイザー国内最大手の ウェルスナビなどの調達額が目立った。市場別では東証マザーズが最も多く、業種別では情報・通信、サービス関連企業が7割弱を占める。

10倍の初値

  上場銘柄の公開価格と初値を比較した株価上昇率が際だって大きかったのも特徴だ。平均で約130%と2000年以降で最高となった。上昇率最大は、AIアプリ開発の ヘッドウォータース。9月29日に東証マザーズに新規上場し、2日連続でストップ高を付けた後、10月2日に公開価格2400円の10倍以上となる2万8560円で初値を付けた。SBI証券の鈴木英之投資調査部長は、「IPOは時代を映す鏡。デジタル化やAIなど時流に沿った銘柄の上昇率の大きさが目立った」と話していた。

  東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は18日の定例記者会見で、「日本でもデジタル社会や在宅勤務などへの移行をベースにIT関係の企業の上場が目立つのが今年の特色。一部の成長株が高騰するケースがあった」ことについて指摘し、引受証券会社にIPOに際して慎重な対応を求めたと話した。

  足元の金融市場の過剰流動性も、新規上場銘柄に潤沢な資金が流れやすくなっている原因の一つだ。SBI証券の鈴木氏は、今後のIPO市場の行方を占う上で過剰流動性がどこまで続くかが大きなポイントだとみる。米連邦準備制度理事会(FRB)は23年まで緩和的な政策を続けるとの見方がコンセンサスとなっているため、「21年は金利は大きなリスクにはならず、当面はIPO銘柄にも資金が集まりやすい環境が続く」という。

  個人投資家の参入もIPOマーケットの活性化を後押ししている。岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一部長は12月に連日のIPOにより個人の資金の回転が良くなっていることで、成長株に資金が戻って新興市場に活気を与えてくれることも期待できると話していた。

赤字上場

  さらに、市場区分の変更に伴う上場基準の変更も企業が上場に際して留意するポイントだ。大和総研政策調査部の神尾篤史次長は22年4月に誕生予定の「プライム市場への上場ハードルが高くなったため、1部への新規上場のボリュームは減る」とみている。一方で、マザーズ市場への上場基準は「現状より少し緩和し、上場しやすくなった。そこは多少数が増えるか、現状維持だ」と予想した。

  今年のIPOでは赤字企業が増えたのも特徴の一つ。経常損益ベースで赤字上場(上場時の直近期の実績ベース)をしたのは14社と19年に次ぐ多さだった。赤字額が大きかったのはウェルスナビ(19年12月期は21億円の経常赤字)を筆頭にヤプリ、プレイドなどIT関連企業に目立った。

  SBI証券の鈴木氏はマザーズへの上場基準が緩和されたことで成長銘柄に資金が流れやすくなる仕組みになっているのは評価でき、「赤字上場はある程度許容される」とみている。同時に、市場の過大評価はリスクとなりかねないとも警戒する。今年は過剰流動性だったからこそリスク許容度が高かったが、環境が変われば赤字上場企業への見方も厳しくなるという。

  来年のIPO市場に資金は集まるか。東証は28日、半導体レーザーや視覚情報デバイスを開発するQDレーザの株式について、マザーズ市場の上場を承認した。同社の20年3月期業績は12億円の経常赤字だった。公募と売り出しを合わせた株式数は最大で1500万株を超える。上場日は2月5日。需要の積み上がりを確認する試金石となる。

(最終段落に2021年の新規上場銘柄情報を追記し更新します)

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