コロナウイルス変異株のスパイクたんぱく(抗原)の作製
新型コロナウイルスのスパイクたんぱくの遺伝子を大腸菌ベクターに組み込み大量精製し、これをヒトHEK細胞に遺伝子導入することで、リコンビナントたんぱく質を精製。これをダチョウに免疫(注射)し、ダチョウの卵黄から高純度の抗体を回収。新型コロナウイルスが次々と変異する中、オミクロン株も含め、抗体の反応性と特異性および性能を、ELISA法(抗体と抗原の反応性を発色や発光により計測する免疫学的測定法)とウイルス感染者による実験で測定し、その有用性を確認しました。また蛍光標識する抗体には、コロナウイルス粒子全体に反応するダチョウ抗体を作製。フィルター上ではコロナウイルスのスパイクたんぱくにダチョウ抗体が特異的に結合し、結合したウイルス粒子全体に蛍光標識した抗体がさらに結合するため、特異性と反応性に優れています。
新型コロナウイルスを最大限に捕捉するダチョウ抗体担持フィルターの作製
不織布に抗体を物理的に担持する方法、ポリ乳酸を配合し抗体を共有結合させる方法などを用いて、大量作製したダチョウ抗体の活性を最大限に保持できるフィルターの開発を行いました。ウイルスの可視化にはフィルターに液相が必要となるため、その素材での抗体保持性をELISA法により検証しながらフィルター上の抗体担持量とウイルス抗原量を変化させ、最小限のウイルス量でも捕捉できるフィルターへと最適化しました。
プローブとしての2次抗体の作製・選定
ダチョウ抗体担持フィルターに捕捉されたウイルス粒子を可視化するために、複数の蛍光・発光色素や酵素を標識した2次抗体(コロナウイルスを認識するダチョウポリクローナル抗体)を作製し、目視で発色・蛍光が判定できる標識法と基質などの選定を行いました。
新型コロナウイルスの可視化
実験室内でウイルス抗原を液化したダチョウ抗体担持フィルター、および新型コロナウイルス感染者が使用したダチョウ抗体担持マスク(口元フィルター)に、2次抗体を反応させた上で、一定の波長の光を照射することで、新型コロナウイルスの可視化に成功しました。光源の1つとしてスマートフォンのLED光を使用した場合も、ダチョウ抗体担持フィルター上のウイルスの可視化が可能なことを確認しました。
からの記事と詳細 ( 共同発表:ダチョウ抗体を担持させた不織布マスクで新型コロナウイルスオミクロン株の可視化も確認~変異株への高い反応性が迅速な感染防御技術の開発に寄与~ - 科学技術振興機構 )
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