【ワシントン=高見浩輔】米労働省が8日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から37万2000人増えた。失業率は3.6%で横ばいだった。ハイテクなど一部企業は雇用を減らし、全体でみた就業者数の急増も一服しつつあるが、逼迫した状況が続いている。
就業者数は市場予想の25万人増を大幅に上回った。5月の就業者数の増加幅は速報時点の39万人から38万4000人に修正された。失業率は3月から3.6%で横ばいが続いている。新型コロナウイルス禍の影響が深刻化する前の2020年2月に付けた3.5%という約50年ぶりの記録にほぼ並ぶ水準だ。
平均時給は市場予想通り前月比で0.3%上昇した。前年同月比では5.1%と高い伸びが続いている。
米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げによって、市場では景気後退を警戒する声が増えている。新興テクノロジー企業は4~6月にレイオフ(一時解雇)を増やしており、供給制約に直面する自動車部品会社の一部にも同様の動きがある。
ただ失業者1人に対して2人分に近い求人がある現状では「レイオフされた労働者が新しい仕事を見つけるのは簡単」(PNCファイナンシャル・サービシズ)だ。雇用動態調査(JOLTS)によると非農業部門の求人件数は過去最高を更新した3月の1186万件からは減ったものの、5月も1125万件と高止まりしている。
中小・自営業者の業界団体である全米自営業者連盟(NFIB)によると、6月時点でも回答者の半数が「埋められない求人がある」と答えている。背景にあるのは働き手の減少だ。コロナ禍で仕事を辞めた60代がそのまま仕事探しをしなくなったことなどが響き、労働参加率はコロナ前の水準を下回ったまま推移している。
失業率などの雇用統計は景気の動きに追随する「遅行指数」と呼ばれる。すぐには崩れない堅調な労働市場は、FRBが急速な利上げを進める根拠となっている。FRBのウォラー理事は「埋められていない求人」があまりに多いため、利上げを進めても失業率が急に上昇する可能性は低いと分析している。
過去の米経済は失業率の上昇に合わせて景気後退局面に入ってきた。インフレを抑えつけるために経済の需要を縮小させるFRBの利上げは難しいバランスが求められる。米国の堅調な雇用情勢が悪化する兆しが鮮明になれば、金融政策の先行きは一段と見通しづらくなる。
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