セレブ御用達ショップとして知られる米ビバリーヒルズにあるセレクトショップ「キットソン」が、全米各地で多発しているブランド店を狙った強盗事件を受け、客に入店時のマスク着用を禁ずると発表して話題になっている。

ロサンゼルスでは数日前にコンビニエンスストアに若者の集団がなだれ込み、店内の商品を手あたり次第略奪する映像が公開されて大きな話題になったばかりだが、コロナ禍でこうした略奪が横行している。ビバリーヒルズでも複数のブランド店が被害に遭っており、中には白昼堂々マスク姿で店内に押し入って棚に並んだ商品を略奪する犯行も起きている。

そんな中、ロサンゼルスのトレンド発信の場として人気のキットソンの本店で、「スタッフと店の商品の安全のため、マスクを着用しての入店をお断りする」と警告するメッセージが店の前に掲げられたと地元メディアが一斉に報じた。

ロサンゼルスでは新型コロナウイルスの感染対策による屋内でのマスク着用義務化はすでに解除されているが、感染力の強いオミクロン株の拡大を受けて現在もマスクを着用している人は一定数いる。

報道によると、感染に不安のある顧客は営業時間外に個別に予約を取って買い物に訪れることができるとしているが、マスク着用を希望する人はオンラインショッピングの利用を推奨している。

マスク着用を禁止した理由について、「健康の予防措置として始まったマスクだが、マスクをすることによって身元の特定を避けることができると分かり、万引や嫌がらせ、身体的な暴行などの犯行が増加している。一部の人が今は悪意のある目的で使用している」と述べ、顔が見えるようマスクを禁止したとしている。

ロサンゼルスでは現在も一部の小売店で独自にマスク着用を求めている他、空港や公共交通機関、介護施設などでは着用が義務付けられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)