厚生労働省の専門家会合は5日、新型コロナの新規感染者数は全国的に下げ止まりとなっていて、今後、東京などでは増加傾向になると見込まれると分析しました。名古屋工業大学のグループは今後の東京の感染者数についてAI=人工知能を使って試算しました。80%がマスクをしない場合、半数がマスクの着用を続けた場合など、その結果をまとめました。
大型連休明け 都内の新規感染者数は
名古屋工業大学の平田晃正教授のグループは3月29日までの感染者数などのデータを元にさらに感染力の高い変異ウイルスが現れず、人出がコロナ前の水準まで緩やかに戻るといった想定で、今後の感染状況をAIを使って試算しました。
その結果、東京都の1週間平均での1日あたりの感染者数は5月上旬から中旬にかけて大型連休などの影響で増えると見込まれ、80%の人がマスクをしない場合、およそ8300人、半数の人がマスクをした場合はおよそ4600人に抑えられるという結果になったということです。
これまでどおりの着用状況が続く場合は、およそ2600人にとどまるという試算結果でした。
その後は感染者数が緩やかに減るものの、お盆休みのあと、8月下旬にも5月中旬よりは少ないものの、増えると見込まれると試算されたということです。
名古屋工業大学 平田晃正教授
「換気が難しく『密』になる場合などにはマスクの着用は推奨できる。対策ができていれば、急激な拡大にはならないだろう」
新規感染者数 18都道府県で前週より増加
厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、4月4日までの1週間の新型コロナの新規感染者数は全国では前の週と比べて1.03倍とわずかに増加し、北海道や東北、首都圏などで18の都道府県で前の週より多くなっています。
首都圏の1都3県では、東京都が1.26倍、神奈川県が1.16倍、埼玉県が1.07倍、千葉県が1.05倍と増加に転じています。
大都市部では20代の感染が増加
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合は4月5日、現在の感染状況について、感染の第7波が始まる前の去年夏の水準を下回る状況ではあるものの、全国的に下げ止まりとなっていて、大都市部など直近で増加している地域も多く見られるとしています。
ただ、重症者数や亡くなる人の数は減少傾向が続いているとしています。
今後の感染状況については大都市部で20代の感染が増加していることから感染者数が増加に向かう可能性があり、短期的には横ばい傾向が続くか、東京など一部の地域では増加傾向となることが見込まれるとしています。
“今後の推移を見ていく必要がある”
厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は、地域によって感染者数が増えている理由や、変異ウイルスの「XBB.1.5」が検出される割合が上昇していることなどについて次のように述べました。
〇地域によって感染者増
「いわゆる『第7波』や『第8波』で多くの人が感染したりワクチン接種が進んだりしたことで免疫を持つ人が増えていたが、いまは減少傾向になっていることがデータで示されている。また、大都市圏では、年度替わりに伴う人と人との接触の変化が影響しているのではないかと考えている」
〇「XBB.1.5」検出割合が上昇
「以前の変異ウイルスより感染しやすい可能性があり、置き換わりに伴って感染が拡大する可能性はある。現在は複数の系統の変異ウイルスが共存している状態で、『XBB.1.5』が急激に増加するのか、ほかの変異ウイルスと共存するのか、今後の推移を見ていく必要がある」
また、今後、感染の「第9波」に入るのかどうかについては「増加傾向になる可能性はあるが、どの程度の規模になるかは、いまの時点では申し上げにくい」と述べ、今の段階で見通しを示すことは難しいという考えを示しました。
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