ニューヨーク(CNN) 米電気自動車(EV)大手テスラは、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の2018年の報酬パッケージを承認する投票を株主に再度求める計画であることが分かった。同報酬パッケージはデラウェア州の裁判所が今年1月に無効と判断している。
この報酬パッケージは、1月時点で510億ドル(現在のレートで約7兆9000億円)の価値があったが、その後のテスラ株の値下がりにより、その価値は407億ドルにまで減少した。
18年の投票では、マスク氏とマスク氏の兄弟を除いて賛成票は73%に上った。17日未明に米証券取引委員会(SEC)に提出された、投票の計画を発表する同社の委任状説明書には、「承認はテスラの株主の民主主義を回復する」と書かれていた。
訴訟を起こした株主側の弁護士は、報酬パッケージのストックオプション(自社株購入権)は過剰であり、テスラの取締役は独立性を保っておらずマスク氏に近すぎることから株主の利益を守ることができないと主張していた。
デラウェア州衡平法裁判所のカタリーン・マコーミック主席判事は1月、マスク氏とテスラの取締役会は報酬プランが公正であることを証明する責任を果たせなかったと裁定した。
テスラは17日の提出書類で、18年以降に株式の価値が高騰しているため、株主にとって報酬体系は公正だと主張している。
この訴訟はテスラをはじめとする多くの大企業が設立されているデラウェア州で提起された。マスク氏は1月、判決を受けX(旧ツイッター)に「決してデラウェア州で会社を設立してはならない」 と投稿し、「株主が意思決定できることを好むのであれば、ネバダ州かテキサス州で設立することをお勧めする」と続けた。
マスク氏はその後、テスラの法人登記を本社があるテキサス州に移す計画を発表した。17日の提出書類では法人登記の移転も承認することを株主に求めている。
今回の委任状では、マスク氏の今後のテスラでの仕事に対する新たな報酬パッケージは発表されていない。18年の報酬パッケージは、テスラがすでに達成した財務目標と株式の市場価値に対する報酬となる。マスク氏には直接的な給与は支払われておらず、同社のさまざまな業績に基づいてストックオプションのみが支払われている。
テスラの株価は、書類提出後の時間外取引ではほとんど変化しなかった。EV市場の競争激化と需要軟化に直面している同社は先日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来となる販売台数の前年同期比での減少を報告。株価は今年に入ってから38%値下がりしている。
マスク氏は週末、世界の従業員14万人のうち10%超を削減すると発表し、複数の幹部が退職を表明した。
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