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Sunday, May 31, 2020

コロナで市場から消えたマスク バブルと崩壊、そして今 - 朝日新聞デジタル

経済インサイド

 春先は例年、マスクの季節だ。インフルエンザと花粉症の流行期が重なり、最も売れるという。ユニ・チャームは例年通り、秋から少しずつ在庫を増やして準備していた。しかし、今年は様子が違った。年初から受注が増えた。1月16、17日には例年の10倍になった。広報担当者は「中国で新型コロナウイルスの感染拡大が報道され、日本にいる中国人が買っていると分析していた」と話す。24時間態勢で、平時の2倍となる月1億枚の生産に踏み切った。

 2月に入ると日本でも感染拡大の懸念が高まり、だれもがマスクを買い始めた。中旬、東京のJR神田駅西口にある「昭和薬品」のマスク売り上げは1・5倍にのぼった。下旬には在庫が底をついた。

拡大する写真・図版マスクが品切れした薬局の売り場=2020年2月27日、東京都千代田区、長橋亮文撮影

 2018年度、日本のマスク供給量は55億枚だった。8割を輸入に頼り、そのほとんどが中国からだった。中国の感染拡大で輸入はほぼ止まり、日本でも需要が急増。各地の小売店の店頭からマスクが消えた。

 新型コロナの感染拡大で日本は空前のマスク不足に陥った。何が起きていたのか。

 昭和薬品の男性店長(53)は仕入れに奔走した。予定を書き込んでいた手帳は、2月20日から5月初旬まで真っ白なままだ。「忙し過ぎて予定を書く余裕がなかった」と振り返る。

 3月に100枚入りの500箱を入荷。一日に100箱ずつ店頭に出すと、連日2時間足らずで売り切れた。「1人1箱」の制限を設けても、「買った後に上着を脱いだり、めがねをかけたりして何度も買いに来た人もいた。さすがに注意した」。1箱1980円で売ったが、ネットでは同じ商品が6千~1万円の値付け。「悔しくて、高値で転売されないように箱にフェルトペンで値段を書いた」。下旬には小売価格が感染拡大前のおよそ10倍、1枚100円を超えた。毎日、何十回も「入荷したか」「今度はいつ入るか」と聞かれた。

 同じころ、中国では政府が誘導したこともあり、自動車メーカーなど異業種がマスク生産に次々参入していた。生産能力は1月下旬に1日あたり2千万枚だったが、3月には2億枚まで増えたと報じられた。そして、余り始めた。

商機に10万単位で買い付け

 輸入が滞り、マスク不足に陥った日本。一方で、生産を急拡大し、余る中国。ここに商機を見いだした人たちがいた。

 3月下旬。輸入卸業を営む40…

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