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Sunday, June 21, 2020

何もなかった道路が…夕方は露店街 中国が進める“お手軽”コロナ失業対策 - 東京新聞

河北省廊坊市で、道路上にできた「露店の街」=写真家の成剛氏がドローンで撮影

河北省廊坊市で、道路上にできた「露店の街」=写真家の成剛氏がドローンで撮影

 中国で新型コロナウイルスの流行による景気悪化対策として、露店や屋台を復活させる動きが広がっている。衛生問題や都市景観を理由に排除されつつあった存在が、失業者対策の特効薬としてもてはやされた格好だ。中国政府は、生活支援策として日本のように一律の現金給付は行っておらず、コストのかからない方法で庶民に自助努力を促そうとする窮余の一策に見える。 (河北省廊坊(ろうぼう)市で、坪井千隼)

■給料の足し

 夕方になると、建設中の道路上に集まった人々がビニールシートに商品を並べ始め、何もなかった道路が「露店の街」に変わった。

 北京市中心部から車で東に一時間の河北省廊坊市。長さ一キロの片側一車線の路上にざっと千店。アクセサリーに衣服、カバンにおもちゃ、野菜に果物とあらゆる商品がずらり。焼き肉や串焼きなどの屋台も多い。

 「利益はわずかだが、店舗の家賃や光熱費はかからないから助かる」。おもちゃや絵本を売っていた李さん(49)は笑顔を見せた。以前、北京市内で構えていた観光客向けのアクセサリー店は、新型コロナの影響で廃業に追い込まれた。

 一日三時間ほど店を出し、利益は五十元(約八百円)前後。「家にいてもやることがない。露店を開きながら次の商売を考えるよ」

 この露店街では、李さんのように失業中の人も少なくないが、「給料が減った足しに」と副業で始めたケースも多くみられた。

河北省廊坊市で、道路上に商品を並べ売る出店者ら=坪井千隼撮影

河北省廊坊市で、道路上に商品を並べ売る出店者ら=坪井千隼撮影

■即効性

 もともと中国の都市の大通りなどでは、衣服や雑貨を売る露店や、食べ物を売る屋台が多く並び、庶民生活を支えていた。だが、「黒暗料理」と呼ばれる衛生上問題のある食品や海賊版DVDが平然と売られる現実があり、十年ほど前からは衛生や景観などを理由に当局は規制を強め、数が激減していた。

 ここにきて中国各地で露店が復活したのは、五月の全国人民代表大会(国会に相当)に合わせた記者会見で、李克強(りこくきょう)首相が露店経済の雇用対策への有効性を強調したことがきっかけだ。李氏は今月一日、山東省煙台市の屋台街の視察で、「『露店経済』は重要な雇用の源であり、中国の生命力だ」と持ち上げ、各地方政府が早速、露店や屋台の規制緩和を打ち出した。

 四月の都市部の失業率は6・0%。一部民間エコノミストからは「実際の失業率は20%近い。失業者は七千万人を超えるのでは」との観測も出る。

 中国では企業向け雇用助成金や減税措置などはあっても、国民への一律現金給付制度がないなど個人向け救済策は手薄だ。一方で、露店や屋台は失業者の雇用の受け皿として即効性が高く、財政負担もほとんどないメリットがある。

 中国は今年を「小康社会(ややゆとりのある社会)」を実現する年と位置づけており、失業者の大量出現は何としても防ぎたい。露店をあえて持ち出したのは、コストをかけずに効果的な失業対策を早急に講じる必要に迫られたためだ。

■路線対立

 降って湧いたように過熱した露店経済だが、慎重な対応を求める声も上がる。

 北京市共産党委員会の機関紙、北京日報は今月六日、衛生問題や交通渋滞などを理由に「首都である北京にふさわしくない」と反対する記事を掲載。国営中央テレビも七日、「露店経済は万能薬ではない」として、都市ごとに状況を見て対応すべきだと論評した。すでに一部地域では渋滞や騒音、ゴミの散乱といった問題が出始めている。

 中国では、共産党内序列二位の首相の発言に、官製メディアが真っ向から反対する記事を流すのは異例で、ネット上では党指導部内で意見対立が出ている可能性を指摘する声も上がる。

 もっとも露店経済の復活は、あくまで緊急避難的な失業対策であり、中国経済が回復すれば、いずれまた規制されるだろうという冷めた見方もある。


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