9月のデジタル庁発足に向け、母体となる内閣官房IT総合戦略室のオフィスが急拡大を続けている。この1年間で2回の引っ越しを重ね、家賃は10倍になった。直近6月の引っ越しまで業務をしていたオフィスは空きスペースになったが、賃貸契約は来年3月まで続くため、「二重家賃」ものしかかっている。
デジタル庁は東京都千代田区にある複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」内の高層ビルに入居する。「赤プリ」の愛称で知られたグランドプリンスホテル赤坂の跡地に立つ紀尾井タワーの19、20階で、6月下旬からIT室と番号制度推進室が業務を始めた。前入居者のヤフーはコロナ禍でテレワークを進めて設備や内装を残したまま2月末で退去し、そこに「居抜き」で入った。
8800万円→8億8700万円
IT室が引っ越しをするのはこの1年で2回目だ。当初は永田町の内閣府別館に入っていたが、2008年8月に近くの民間ビル「尚友会館」に移った。このビルの家賃は年間約8800万円(19年度)。職員は百数十人だったが、手狭になったことで昨年8月に港区虎ノ門のオフィスに引っ越した。家賃は約2億2400万円(21年度)だ。
すると直後の9月に誕生した菅政権が目玉施策としてデジタル庁を掲げた。発足時に約500人体制を見込み、約300人で業務をしていた虎ノ門のオフィスでも手狭になることが予想されたため、再度の移転計画が持ち上がった。紀尾井タワーの家賃は年間8億8700万円。1年間で家賃は約10倍に膨れあがった。
引っ越しにかかるコストは家賃だけではない。虎ノ門への引っ越しでは入居工事やLANの整備などで5千万円以上の費用がかかった。財務省は民間ビルへの入居について、不要なコストがかからないように「中長期的な視点をもって検討する必要があるのではないか」と指摘している。
契約書を分析すると…
また朝日新聞が入手した契約…
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