連載「社長、給料あげますか? 賃上げ税制の現実」
中小企業が賃上げすれば、その額の最大40%を法人税から差し引く――。政府がそんな政策を打ち出しました。税の優遇措置としては破格の水準だそうです。ただ、そもそも中小企業にとっては使いやすい政策なのでしょうか? 社長さんたちのリアルな声を伝えます。
今回の「ニンジン政策」をどう評価するか、聞いてみたい人物がいた。
守和彦さん、78歳。
理想の経営者になろうと努力し、社員や社会の幸せを考える団体「北海道中小企業家同友会」で、18年間にわたって代表をつとめた人物である。
2015年春、安倍政権が経団連に賃上げを促す「官製春闘」をしていたころ、私は、守さんに話を聞いた。守さんは言った。
「中小企業に、すさまじい賃上げの風圧がきている。会社の経営の内実は厳しくとも、歯を食いしばってベアをしている中小がたくさんある。輸出で大もうけしている大企業さんとは違う」
この12月、どう思うのかを聞きにいくと、守さんは言った。
「社員の賃金を上げたいと、中小企業経営者は、みんな思ってんだ。でもさ、まず言いたいのは、この制度、残念ながら多くの中小企業は使えないということだね」
中小企業の6~7割は赤字…
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