優れた設計の再利用可能なゴムバンドを装着すると、普通の医療用マスクがN95マスク並みにぴったりフィットし、新型コロナウイルス感染症を広げる主因である飛沫を防止する効果が、従来の15倍と飛躍的に向上する。
我々は皆、もうそろそろマスクに別れを告げられると思った。だが、そこへ新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が襲いかかってきて、たとえワクチンという備えがあっても、新型コロナウイルス感染症は恐らくエンデミック(一定期間で繰り返される流行)として残り、今後も新しい変異型とともに再び姿を現す可能性が高いことを思い知らされた。このため、循環的なマスク着用は生活様式の1つとして定着するのかもしれない。
米ライス大学のジェイコブ・ロビンソン准教授(工学)以上に、こうした状況の到来に驚いた人はいない。最新の研究論文が発表される頃には、チームが開発した用具がもう旧聞になっていると考えていたからだ。
設計を一般公開、誰でも作れるバンド
その発明とは何か。医療用マスクの上からはめて使い、洗って再利用することができるゴム製ハーネスだ。このアプローチは以前にも見たことがあるが、ライス大のプロジェクトは研究室で効果の高さが証明されている。このハーネスを付けた医療用マスクは、ただの医療用マスクと比べ、15倍もの飛沫を防げるのだ。
そして被験者の半数以上で、このシンプルな器具を付けると、医療用マスクが高性能なN95マスクと同じ基準で顔にフィットすることが分かった。報道されている大半の記事はN95マスクをフィルタリング技術として分類しているが、実際には、N95マスクのより際立った特徴はぴったりしたフィット感かもしれない。そのおかげで、空気が脇の隙間を回り込んだりせず、マスクのフィルターを通らなければならないからだ。
「これは非常に安価に生産できるものだ」。研究室では1個作るのに10ドル(約1100円)かかるが、大量生産すればもっと安く製作できるゴム製ハーネスについて、ロビンソン氏はこう語る。「設計は自由に使えるようにしている。誰でも1枚の薄いゴムシートからレーザープリンター(あるいは刃物)で切り出すことができる」。
プロジェクトが始まったのは、ロビンソン氏の神経学研究室が新型コロナウイルス感染症拡大のせいで閉鎖されたときのことだ。同氏と同僚のケイレブ・ケメレ准教授は、「ある意味、退屈し、何かやりたかった」と振り返る。「大学の研究室にはあらゆる設備があるから、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)発生当初、研究が中止されたときに、こうした設備をどう活用できるか考えた」(ケメレ氏)。
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