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Thursday, February 17, 2022

マスクの素材別効果は?N95は使い方に注意、ウレタンは性能劣る - ハフポスト日本版

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HuffPost Japan

Yuki Takada / HuffPost Japan

どの素材のマスクが、最も飛沫の飛散を防げる?

布やウレタンで作られたマスクに比べて不織布マスクの方が、飛沫の飛散を抑える効果が高い傾向にあることが、国立研究開発法人「理化学研究所」(理研)によるスーパーコンピュータ「富岳」を使ったシミュレーション結果で分かっている。

理研チームリーダーで神戸大教授の坪倉誠氏は、「その日の体調や(感染)リスクなどを考えてマスクを選んでほしい」と呼びかけている。

息が吸いにくい=性能が良い

理研、豊橋技術科学大、神戸大の研究チームは、マスクの素材ごとのフィルター性能と通気性を実験で計測した。実験結果をもとに、マスクを着けた際の性能(捕集効率)を素材別でシミュレーションした。

その結果、不織布マスクはウレタンや布よりも性能が良い反面、通気性が悪いことが分かったという。

布マスクの性能は比較的良く、通気性は不織布やウレタンに比べて良かった。デザイン性が人気のウレタン製マスクは、不織布と比べて性能が劣った。

坪倉氏は「ひと口に不織布といっても非常に性能幅がある。布マスクよりも性能が劣っている不織布も市販されている」と説明。「基本的には『息が吸いにくいマスクは性能が良い』と覚えてもらいたい」とした。

日常の場面ごとに、どのマスクを選べば良いのか?

坪倉氏は「マスクは性能だけでなく、通気性や、(繰り返し使えるかという)費用対効果も考えて選択するのが良い。その日の体調やリスクを考えて選んでほしい」と述べた。具体的には、日常のオフィスなら布マスク、人と集まる密になるような機会があるなら不織布マスクを着けることを提案している

N95は高い効果

マスクの素材別で、吸い込む飛沫量と吐き出す飛沫量はどれほど違うのか?

豊橋技術科学大のプレスリリースなどによると、吐き出しの飛沫量は不織布マスクは80%、布マスクは66%〜82%が抑制された。吸い込み飛沫量では、不織布マスクの場合はマスクと顔に隙間があっても飛沫量を3分の1ほどにできるという。

一方で、フェイスシールドは大きな飛沫(50マイクロメートル以上の水滴)であれば抑制する効果が見込めるが、より細かいエアロゾルはほぼ漏れてしまうことが分かった。

高性能マスクの「N95」マスクを正しく着用した場合、吐き出し飛沫量は1%、吸い込み飛沫量は2%まで抑え込めるとのシミュレーション結果になった。一方で、豊橋技術科学大の飯田明由教授は「顔に正しくフィットさせないと、N95マスクの効果を発揮することはできません」と指摘。「顔にぴったりと合ったマスクを着用した場合に得られる効果だという点を認識する必要があります」と強調している。

マスクの素材別の吐き出し飛沫量・吸い込み飛沫量の違いを調べた研究チームの実験・シミュレーション結果は以下の通り。

<マスクなどの種類/吐き出し飛沫量/吸い込み飛沫量>

不織布マスク/20%/30%

布マスク/18〜34%/55〜65%

ウレタンマスク/50%/60〜70%

フェイスシールド/80%/小さな飛沫に対しては効果なし(エアロゾルは防げない)

マウスシールド/90%/小さな飛沫に対しては効果なし(エアロゾルは防げない)

▽N95マスク/1%/2%

※出典:豊橋技術科学大のプレスリリース / 同大への取材をもとに作成

2枚重ねの効果は?

N95のような高性能のマスクを入手できない人も多い。その場合、マスクの2枚重ねは効果があるのか?

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は2021年2月、マスクを2枚重ねると、1枚よりも新型コロナウイルス感染を防げるという研究結果を発表した。マスクを2枚重ねる場合、フィルター性能の高いマスクを最初に着用することがポイントという。 

一方で、理研や神戸大などの研究チームによる富岳のシミュレーションでは、不織布マスクの金具を鼻の形に沿うように曲げて装着した場合は飛沫の捕集効率が85%、不織布マスクとウレタンマスクを重ねた場合は89%との結果に。性能の良いマスク1枚を隙間なく装着した場合と2枚重ねでは性能があまり変わらないことが分かったという。

坪倉氏は「性能という観点だけからいえば、おすすめとしては不織布1枚を、できるだけ(顔とマスクの)隙間をなくすようにつけることがコストもかからず良いと思っています」と話している。

近距離の会話で感染リスク

不織布マスクを着用していた場合でも、相手との距離や接触時間には注意が必要だ。

理研提供

感染者と15分間、対面で会話した場合の感染リスクは?

理研などの研究チームは、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染者と対面で15分間会話した場合の感染リスクについて、富岳を使いシミュレーションをした。その結果、感染者が不織布マスクを着けていても、距離が50センチ以内の場合は感染リスクが高まることが分かった。

感染者がマスクを着けていない場合、50センチ以内での感染リスクはほぼ100%で、1メートルの距離でも60%に上った。

さらに、マスクを着けていても、会話する時間が長いほど感染リスクが高まるとの結果になった。

坪倉氏は「隣同士でしゃべるようなシーンでは、マスクをしていても安心せず、距離をとったり接触時間を短くしたりと対策を怠らないでほしい」と呼びかけている。

(この記事は、2020年12月に公開した記事を加筆・再編集しています)

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