21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、FOMCが0.75%の利上げを決め、インフレ抑制に向け今後も大幅利上げを継続する方針を示したことで144.70円まで上昇後、パウエルFRB議長が「いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう」と述べたことで143.41円付近まで反落した。もっとも、引け前には144円台を回復している。
ユーロドルは、ウクライナ情勢の悪化懸念やFOMC声明を受けて0.9814ドルまで下落後、0.9910ドル付近まで反発した。しかし、ドル円同様に引け前には0.98ドル前半まで弱含んだ。ユーロ円は、ウクライナ情勢激化への懸念やNY株下落を受けたリスク回避の売りで141.64円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合でのフォワードガイダンスの変更を見極める展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、トリプル・トップ(144.99円・144.96円・144.70円)を形成しつつある。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を受けて届かなかった145円に向けて、日銀金融政策決定会合の結果を受けて、上抜けることで1998年8月の高値を目指す上昇トレンド再開となるのか、それとも、トリプル・トップを完成させるのかを見極めることになる。
日銀金融政策決定会合では、黒田日銀総裁が8月末のジャクソンホール会議で「賃金と物価が安定的かつ持続可能な形で上昇するまで、持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はない」と語ったように、短期政策金利(▲0.1%)および長期金利の誘導水準(ゼロ%程度)の据え置き、連続指値オペの運用継続が予想されている。
リスクシナリオは、円安抑制措置として、イールドカーブコントロール(YCC)の「年限の短期化」とゼロ%を中心に上下0.25%程度としている長期金利の「許容変動幅の拡大」という金融政策正常化が打ち出された場合となる。しかし、昨日も日銀による指し値オペが実施されたことで、可能性は限りなく低くなっている。
また、政策金利のフォワードガイダンスの文言修正の可能性にも要警戒となる。
現在のガイダンスは「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」というもので、緩和バイアス、あるいは利下げバイアスが付与されている。
9月末が期限の新型コロナ対応金融支援特別オペの終了を控えて、前半の「新型コロナウイルス感染症の影響を注視し・・・」の部分は削除される可能性が高い。注目ポイントは、後半の「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」や「緩和バイアス」が維持されるのか否かとなる。
ユーロドルは、プーチン露大統領のウクライナへの部分動員令とパウエルFRB議長の利上げ路線の継続を受けて、2002年10月以来約20年ぶりの安値を更新している。親ロシア派武装勢力「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」、ロシア軍が占領する南部ヘルソン州とザポリージャ州では、23-27日にロシア編入を問う住民投票が実施される。プーチン露大統領の狙いは、住民投票により占領地をロシアに併合し、ロシア領土を防衛するために核兵器を使用する権利を得て、ウクライナが退くか、さもなければ核戦争だ、という最後通牒を突き付けることにあるらしく、ユーロの続落リスクが高まりつつある。
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