週明け11日の米国株がハイテク関連を中心に下落した流れを引き継ぎ、本日の日経平均は寄り付き直後に一時200円超下落した。ただ、その後プラスに切り返し、取引時間中のバブル崩壊後高値を連日で更新している。構成銘柄を見ると、中外薬が1銘柄で約42円の押し上げ要因となっているほか、信越化<4063>やダイキン<6367>といった値がさ株の上昇が貢献している印象。一方、東証1部全体としては値下がり銘柄の方が多く、東証株価指数(TOPIX)は0.05%の下落で前場を折り返している。さすがに日経平均が直近2日だけで1000円超上昇し、節目の28000円を回復した後だけあって、全体としてはやや利益確定売りが優勢か。とはいえ相場全体の先高観は変わらず、循環物色の流れとなっている 日経平均への直接的な影響は小さいが、メガバンク株のしっかりした値動きは相場全体のムードを明るくさせるだろう。米国の長期金利上昇やハイテク株安を受けてグロース株の一角が軟調だが、エムスリーなどは直近2日の上昇が大きかっただけに想定内の調整と言える。また、レノバ<9519>などの環境関連銘柄が利益確定売りに押される一方、信越化やSUMCO<3436>、ルネサス<6723>といった半導体関連の堅調ぶりが目立つ。 米アトランタ連銀のボスティック総裁が11日、「早ければ2022年の中ごろに利上げがあり得る」と語ったなどと報じられているが、その前提として年内に資産購入プログラムを正常化するのは難しいとの指摘もある。先週末8日の当欄でも触れたとおり、米長期金利の先行きに対する見方はなお割れている。また、新型コロナを巡っては関西3府県にも緊急事態宣言が発令される見通しとなるなどなお予断を許さない状況だが、中外薬や武田薬のように治療・予防に向けた明るい材料も出てきている。米ジョンソン・エンド・ジョンソンは1度の接種で済むワクチンを開発中で、近く最終治験の結果を公表すると伝わっている。 こうした様々な材料が入り交じる状況を踏まえると、目先の物色動向は循環的なものとなりそうだ。日経平均はこうした動きに支えられしっかりした展開になると見込まれるが、米政治情勢などには注意を払っておきたい。(小林大純)《AK》
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