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世界有数のヘッジファンド運営会社にとって、世界各国・地域の中央銀行が利上げと量的緩和(QE)の巻き戻しに動く状況で、英国の年金基金の危機は始まったばかりだ。
英 マーシャル・ウェイス(資産額620億ドル=約9兆2300億円)の共同創業者ポール・マーシャル氏によれば、各国・地域中銀が金利を何年も人為的に低く維持した結果、「不良投資」にとって完璧な環境が生み出されたという。
マーシャル氏は顧客に宛てた今月の書簡で、「英国の年金負債対応投資(LDI)業界は、『マネー・フォー・ナッシング(苦労せずに得られる金)』時代終焉(しゅうえん)の最初の犠牲者だ。グローバル資産市場で中銀の利上げがダイナマイト漁のように作用し、水面に浮かんできた最初の死んだ魚だ」と指摘。年金基金が知識と敏しょう性を大いに欠くヘッジファンドマネジャーのように振る舞っているとの認識を明らかにした。
JPモルガン・チェースの推計によると、年金制度が利用するLDIの損失は8月初め以降で最大1500億ポンド(約25兆4000億円)に膨らんだ。
ヘッジファンド運営会社オデイ・アセット・マネジメントの創業者でポートフォリオマネジャーを務めるクリスピン・オデイ氏は、英国債のショートで今年利益を得たが、LDIの危機は始まったばかりだと警告する。
オデイ氏は投資家に宛てた今月の書簡で、「LDI投資家は損失を埋め合わせるため資産を売却せざるを得ず、それはやみそうにない」との見解を示した。マーシャルとオデイの担当者はコメントを控えている。
「メルトダウンの責任を誰もがクワーテング財務相(14日に更迭)に負わせたがった。だがそれは実に20年かけて生み出され、止めようのない価格上昇がもたらしたと私は確信している」とオデイ氏は主張した。
マーシャル・ウェイスの旗艦ヘッジファンドは年初来のリターンがプラス4.2%に達し、オデイ・アセット・マネジメントの「オデイ・ヨーロピアン」は今年1-9月でプラス193%という記録的な運用成績を残した。
年金負債の現在価値の変動にマッチする年金資産の運用を行うため、デリバティブ(金融派生商品)を活用するLDIファンドが、英国債相場の急落(利回り急上昇)でマージンコール(追加の担保・保証金請求)に直面する状況を受け、イングランド銀行(英中央銀行)は長期国債を買い入れる市場介入に踏み切ることを余儀なくされた。
原題: Hedge Fund Titan Warns UK Pension Crisis Is Just the Start(抜粋)
(マーシャル・ウェイスとオデイの運用成績などを追加して更新します)
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