欧米の国々と異なり、街中であってもマスクを着用していない人を見つけるほうが難しい日本。なぜここまで海外との差が生じてしまったのでしょうか。その理由を考察しているのは、医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広先生。上先生は今回、「マスクの新型コロナ予防効果は低い」という医学的エビデンスを紹介した上で、その事実が他国に比べ国民に届いていない原因を「定量的な議論の差」とするとともに、マスク着用を拒む人に無理強いをする必要はないとの見解を記しています。
プロフィール:上 昌広(かみ まさひろ)
医療ガバナンス研究所理事長。1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
マスクがコロナ感染を予防する効果は低く、医学的なコンセンサスではない
9月18日、米バイデン大統領はコロナ収束を表明した。9月23日には、米疾病予防管理センター(CDC)が、医療従事者向けのコロナ対応ガイドラインを改定し、大流行地域以外を除き、医療受持者に一律にマスクを義務化する方針を撤廃している。米国では、病院内でさえマスクをしなくなった。
このあたり、日本とは対照的だ。街中を歩くと、すれ違う人は皆、マスクをしている。筆者は、閉鎖空間以外はマスクを外しているが、周囲の人から白い目で見られることが多い。岸田総理は10月3日の臨時国会冒頭の所信表明演説で、「引き続き、屋外は原則不要」と訴えたが、国民には届いていないようだ。
なぜ、こうなるのか。それは、多くの国民がマスクは感染予防に有効と考えているからだろう。尾身茂・コロナ対策分科会会長をはじめ、政府の専門家は、ことある毎にマスクの有効性を訴え、着用を呼び掛けてきた。専門家と、医学の素人である岸田総理の発言のどちらの方が、説得力があるかは言うまでもない。
では、なぜ、世界の人々はマスクをつけないのだろうか。コロナを怖がっていないのだろうか。私は、マスクの予防効果についての定量的な議論の差が原因であると考えている。
実は、マスクがコロナ感染を予防する効果は低く、かつ医学的なコンセンサスではない。今年2月、韓国のサムスンメディカルセンターの医師たちがコロナに対するマスクの効果を検証したメタ解析を『医療ウイルス学』誌で発表した。
メタ解析とは、複数の臨床試験をまとめて解析することだ。臨床試験は、特定の集団に介入するため、環境や対象を変えれば、結果が再現されるとは限らない。異なる環境で実施された複数の臨床研究をまとめて解析してはじめて、その結果が一般化できる。臨床医学の世界では、メタ解析の結果は「最高レベルのエビデンス」と評価される。
からの記事と詳細 ( 上昌広医師が苦言、マスクのコロナ予防効果の低さを知らぬ日本人 - mag2.com )
https://ift.tt/DNe5Vdy
No comments:
Post a Comment