本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。
11月21~27日に最もツイート数が多かったのは、NEJM誌の論文「Lifting Universal Masking in Schools - Covid-19 Incidence among Students and Staff」(マスク着用ルールを解除した学校と継続した学校のCOVID-19発症率比較)で1万4620件だった。この論文は11月第2週(7~13日)のツイート数集計でもトップになっており、2週間後に再び注目を集めた格好になっている。
概要を再掲すると、米国のマサチューセッツ州は、2022年2月に公立学校では一律にマスクを着用する政策方針を撤回して、学区ごとにルールを選択できるようにした。その結果、多くの学校がマスク着用義務を解除したが、引き続きマスク着用を継続した学校もあった。この研究は州の方針変更から約15週間の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症率を、解除した学校と継続した学校で比較している。
ボストン市近郊の72学区を分析対象とし、通学している生徒29万4084人と教職員4万6530人が含まれる。観察期間は州の方針変更が発表された2022年2月28日から6月15日まで。主要評価項目は生徒と教職員のCOVID-19発症率とした。ルール変更の影響は差分の差分析で評価した。
州の方針変更後、72学区のうち46学区(64%)は最初の週からマスク着用義務を解除し、17学区(24%)は第2週から解除し、7学区(10%)は第3週から解除した。マスク着用ルールを継続したのは、BostonとChelseaの2学区のみだった。ルール変更前の学区による差分の差はほぼゼロだった。
ルール変更後の第1週は、解除した学区では継続した学区に比べ、生徒と教職員1000人当たり1.4人(95%信頼区間0.6-2.3人)COVID-19の患者数が多くなった。それが第9週では9.7人(7.1-12.3人)に増えていた。ルール変更から15週間では、COVID-19患者数が生徒と教職員1000人当たり44.9人多かった。15週間で実際に増えた患者数は1万901人(8651-1万5151人)と推定された。
ルール変更の影響は生徒よりも教職員でより顕著だった。15週間で教職員1000人当たり81.7人(59.3-104.1人)COVID-19患者数が増えていた。検査で感染陽性と判定されると少なくとも5日間隔離するよう指示されるため、生徒は延べ1万7500日通学できなくなり、教職員は延べ6500日通勤できなくなったと考えられる。これらの結果から著者らは、学校でのマスク着用義務解除は明らかにCOVID-19患者数を増やしていたため、2022~2023年の冬のシーズンの感染拡大防止策と、マスクを外すための判断基準を明示することが重要だと結論している。
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