2023年01月10日13時17分
【ワシントンAFP=時事】選挙の投票機を燃やせと叫ぶ陰謀論者、銃を手にした写真を投稿する反イスラム活動家、クーデターを呼び掛ける退役軍人──言論の自由の絶対主義者を自称する米富豪イーロン・マスク氏が買収したツイッターは、かつて凍結された多くのアカウントを復活させた。(写真はマスク氏)
昨年10月にマスク氏が率いるようになって以降のツイッターについては、誤情報やヘイト系の陰謀論、人種差別の巣窟になったとの批判的な意見が聞かれ、また最近では、従業員の大量解雇や主要スタッフの離脱により、コンテンツの適正化も減っているように見える。
デマや中傷の発信、暴力をあおるなどしたために凍結され、マスク氏の「恩赦」によって復活したツイッターのアカウントの数についてある専門家は、推定で2万7000以上に上ると説明する。
米ニューヨーク大学ソーシャルメディア・政治センターのジョナサン・ナグラー共同所長はAFPに「凍結されていたアカウントの復活によって、誤情報を流そうとする人々を引き寄せるプラットフォームになってしまう」と警告した。
メディア監視団体「メディア・マターズ」の分析によると、復活したアカウントには、極右活動家や反イスラム過激派の他、ドナルド・トランプ前大統領が敗北した前回米大統領選に関する陰謀論者や新型コロナウイルスをめぐる誤情報を発信するものなどが含まれ、そのフォロワーは合わせて数百万に上る。
2021年1月6日に支持者が米議会を襲撃したことを受けてツイッターから「永久」追放されたトランプ氏も恩赦の対象だが、同氏は自ら立ち上げたトゥルース・ソーシャルでの情報発信を続けている。
その他、反イスラム活動家のパメラ・ゲラー氏、復活後の最初のツイートで銃を持つ自身の写真を投稿した極右陰謀論「Qアノン」支持者のミンディ・ロビンソン氏、女性差別的な発言で物議を醸した元キックボクサーのアンドリュー・テート氏のアカウントなども復活している。
大統領選陰謀論者のマイク・リンデル氏は、アカウント凍結の解除についてマスク氏に感謝の意を伝え、フォロワーに「電子投票機を溶かして刑務所の鉄柵にしよう」と呼び掛けた。
またミャンマー式のクーデターの実現を支持するような発信をしたマイケル・フリン元大統領補佐官(国家安全保障担当)のアカウントも復活。トランプ氏支持者の議会襲撃からちょうど2年となる6日にマスク氏に感謝を述べている。
マスク氏は自分が介入したことでツイッターは企業として救われたとし、「この仕事を引き受けるほど愚かな人物を見つけ次第、CEOを辞任する」と宣言している。
しかし、独立系メディア、フリー・プレスのノラ・ベナビデス氏はAFPに対し、「ツイッターを立て直すにはマスク氏交代だけでは不十分だ」と指摘した。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕
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