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Tuesday, March 14, 2023

〈社説〉脱マスク ゆっくり柔軟に進んで|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト - 信濃毎日新聞デジタル

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 新型コロナ対策で勧められてきたマスクの着用が緩和された。政府の指針として、屋内外を問わず着脱は個人の判断に委ねられる。

 とはいえ、ウイルスの性質が大きく変わったわけではない。高齢者や基礎疾患のある人にとっては命にかかわる感染症である。主な感染経路は、飛沫(ひまつ)感染や空気感染だ。無症状の感染者がうつしてしまう可能性にも注意が要る。マスクは引き続き有効な予防策の一つになる。

 街の中では今も、多くの人がマスクを着けている。花粉症の時季でもある。徐々に対応はばらけてくるだろう。

 着けるにせよ外すにせよ、個々の判断が尊重されるべきだ。その上で、重症化リスクのある人を守るための行動を心がけたい。医療機関や高齢者施設、混み合う電車では着用が推奨されている。他の場面でも柔軟に対応したい。

 「脱マスク」に続き、5月8日には新型コロナが感染症法上、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられる。これに伴い医療体制が変わる。

 現在は検査や陽性判明後の外来診療は無料になっている。移行日からは原則、患者に負担を求める。入院費も自己負担が原則になる。

 医療機関への診療報酬も、重症患者の入院に対応する特例加算が減る。病床確保のための補助金も半額になる。

 医療を必要とする人に、適切に提供できる態勢をどう整えていくのか。現場の混乱や受診控えが起きないよう、政府は慎重に移行を進めてほしい。

 厚生労働省は外来患者の受け入れについて、主に発熱外来が担ってきたのを、今後は一般の内科や小児科に広げる。コロナのみを理由に診療拒否はできないことを周知し、対応する医療機関数を1・5倍に増やすという。

 目算通りになるだろうか。コロナが疑われる患者の診療は、動線や時間帯を分ける必要がある。二の足を踏む医療機関もあるのではないか。

 厚労省は、行政が担っていた入院調整も、医療機関同士の調整に切り替える方針だ。行政が手を引いてしまって大丈夫なのか。流行の再燃や集団感染が起きれば病床は逼迫(ひっぱく)する。自治体によるバックアップ態勢が求められる。

 高齢者ら重症化リスクの高い人たちの命を預かっている医療や介護のスタッフは、なかなかマスクを外せないだろう。現場の重い負担に報いるべく、政府の手厚い支援が欠かせない。

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