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Saturday, October 28, 2023

記者も試した!キヤノンMJマスク型減音デバイス 移動中もビデオ会議の経営層ターゲットに「プライバシートーク」 - au Webポータル

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キヤノンマーケティングジャパンは27日、話し声が周りに聞き取られにくくなるマスク型減音デバイス「Privacy Talk(プライバシートーク)」(税込み1万9900円)をクラウドファンディングサイト「Makuake」で31日から先行販売すると発表した。人目がある場所でビデオ会議をするビジネスパーソンの利用を想定し、一般的な布マスクと変わらない外見にすることにこだわったという商品。記者が実際に試してみた。

実はアナログな構造

プライバシートークは一見するとポリエステル製のマスクだが、内側に音声を処理する本体が取り付けられていて、パソコンやスマートフォンと有線・無線で接続できる。装着者は内側の集音マイクで声を届けて、備え付けのイヤホンで相手の声を聞く。開発した同社コンスーマ事業戦略本部の前田諒さんはその性能について「一般的にプレゼンをするときの声は60~70デシベルとされていますが、装着すると約20デシベル低減されます。1メートル離れた相手がモゴモゴ言っているけれど何を話しているかは分からない、というところです」と説明する。

実際に試作機を着けて、装着中に話した声をボイスレコーダーで確認した。すると普段通りに話した声が、まるで水の中で聞く音のように響いていた。耳をすませば、いくつかの単語を聞き取れそうだが、音の輪郭がぼやけて話の筋をとらえるのは難しい。外見は一般的な布マスクとほとんど同じだが漏れ出る声ははまったく違うという印象だ。

仕組みは意外とアナログで、ノイズキャンセリングやマスキングのようなテクノロジーは用いられていない。装着者の声はマイクを通してビデオ会議の相手に送られた後、自動車のエンジン音を抑えるのに使われる「音響メタマテリアル」という技術を採用した部品に届く。

前田さんによると、この部品はAMG社との共同開発で、迷路のような構造になっているという。声が最短距離でマスクの外に漏れるのではなく、構造内の壁面に反射して減衰するため、周りに聞き取られにくくなるというわけだ。

装着時の快適さにもこだわった。1時間の会議で利用しても違和感がないように小型化と軽量化に取り組み、重さを188グラムに抑えた。無線接続した場合、バッテリーは約3時間持つという。

また、内側のファンが回転して空気を取り込んでマスクの下から排出するので、話し続けても湿気がこもりにくい。しかも音声を取得するマイクとは別にファンの稼働音だけを取得するマイクが設置されていて、集音マイクが読み取った「話し声とファンの音」から「ファンの音」を差し引く処理を行うことで、ビデオ会議の相手には声だけが届くようにしている。

「吸う息と吐く息の強さでファンの回転音が微妙に変わりますが、その変化にも対応できます」と前田さん。アナログとデジタルの合わせ技だ。

ダース・ベイダーから3年

近年、周りに会話を聞かれないようにするデバイスは国内外で開発されている。新型コロナウイルス感染対策で在宅ワークとビデオ会議が広がり、コロナ明け以降はオフィスなど人目がある場所でビデオ会議をするビジネスパーソンが増えたことを背景に注目を集めたようだ。

既存の製品は弁当箱やガスマスクのような機器を口に当てる近未来的デザインのものが多く、前田さんは「ガジェット感、デバイス感が強くてビジネスシーンになじまない」と判断。3年前にホームセンターで買い集めた材料で自作したプロトタイプが映画「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーのようだと評されたことからも、誰が見ても違和感がないデザインにすることに減音装置の性能と同じくらいの力を注いだという。

3人がけの席の中央にパーティションを設置して1人で1.5席分のスペースを使えるビジネスシート「S WorkPシート」をJR東海が今月から東海道・山陽新幹線に導入したように、長距離移動の時間を無駄にしたくないビジネスパーソンのニーズをくみ取るサービス・製品が生まれている。前田さんは「移動中に機密性の高いビデオ会議をしたい経営層が必要としているのでは」と話し、企業や団体などの法人に訴求したいと話した。普通の布マスクに見えるデザインはガジェット・デバイスに不慣れな中高年の経営層にも受け入れられそうだ。

光学のキヤノン、なぜ「音」?

レンズ交換式カメラをはじめとする、光学技術の分野で世界的なシェアを握るキヤノンのグループから音に関するデバイスが販売されることについて、前田さんは「たしかに、なぜキヤノンがやるのかという議論が社内でありました。しかしイメージング(画像化)、光学という強みを脇に置いて、若年層にもキヤノンブランドを認知してもらうにはどうしたらいいかを考えるプロジェクトからプライバシートークが誕生したのです」と明かした。プロジェクトには入社10年以下の若手が参加して約300のアイデアが集まったという。

製品の価値とブランドの価値は密接に結びつく。主力製品とはコンセプトが異なるだけに社内で審査する目は厳しく、プライバシートークのマスク表面にキヤノンのロゴのタグを入れる際にはさまざまなハードルがあった。「新規顧客獲得のために、新しい取り組みを社会に伝えるために…いろいろな社内基準をかいくぐりました」。前田さんは笑顔で充実感をにじませた。

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