Pages

Thursday, June 6, 2024

峰先生に聞く「2024年、マスクはすべきかいらないか」 - 日経ビジネスオンライン

kuebacang.blogspot.com

 近所でなかなか新型コロナワクチンの接種が始まらなくて、困っている。

 データを見る限り新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は継続している。感染症法上の区分が5類に移行した昨年5月から11月にかけてのコロナによると考えられる死亡者数は1万6043人。これは「交通戦争」といわれた1970年の年間交通事故死者数1万6765人に匹敵する。最もひどかった時期の年間交通事故死者数に相当する人数が、半年で死亡している(追記:6月5日に厚生労働省は「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)」を発表した。それによると2023年の死亡者数は3万8080人。パンデミックが始まって以来3年間の死亡者数は10万人を超えた)。

 では年間ではどうなのかと、厚生労働省の人口動態統計の現時点における最新版「令和5(2023)年11月分(概数)」を見ると、1月から11月までの統計で、3万6146人が死亡。一方、5類になる前、まだみんな緊張してマスクを付けていた令和4年の1月から11月は、3万7848人。若干減っているものの、ほぼ同規模の死者が出ている。つまり5類になったからと安心しているものの、被害の大きさは5類になる前とまったく変わっていない。

 それどころか、この4月からワクチン接種が基本的に任意になり(※対象者には定期接種)けっこうな金額がかかることになった。他方で、明らかに人の多い場所でもマスク着用者は減っている。コロナワクチンの免疫は半年から1年程度しか持たないことを考えると、今後どかんと感染拡大が起きてもおかしくないのではなかろうか。

 私は昨年秋に最後のワクチン接種をしているので、そろそろ任意でワクチン接種したいと考えている。5月半ばから、ワクチンの出荷は始まっているそうなので、そろそろ自分の住む近辺にも回ってきているはずなのだが、まだ接種してくれる医院を見つけることができていない。

峰宗太郎先生と話す

 この状況をどう考えたものかと思っていたら、編集Y氏に「峰先生の話を聞いてみませんか」と提案された。日経ビジネスにも度々登場し、Y氏とは『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』『新型コロナとワクチン わたしたちは正しかったのか』の共著を持つ病理医・ウイルス研究者の峰宗太郎先生である。

 それでは、ピザでもつつきながら、話をしましょうか。と、峰先生、編集Y氏、私とで一席囲んだ。

 専門家は新型コロナ感染症の現状をどのように見ているのでしょうか、という質問に対して、峰先生は開口一番「今、ウイルス学者・研究者たちは、次に来るパンデミックへの対策を考えています」と大変ショッキングな砲弾を撃ち込んできた。

 次のパンデミックだって……!?

 「まず前提として、新しい病原体が起こすパンデミックは、必ず来ます。来ないということはない。しかしいつ来るか分からない」と、峰先生が話し始める。

 「大きな地震みたいなものですね。あるいは火山の噴火とか」とY氏。

 「そうです。今世紀だけでもすでに、SARS(重症急性呼吸器症候群、2003年)、新型インフルエンザ(2009年)、MERS(中東呼吸器症候群、2012年~)、エボラウイルス病(一般にはエボラ出血熱と呼ばれた、2013年~)、そして新型コロナ感染症(COVID-19、2019年~)と少なくとも5つの大きな流行が発生しました。SARS、MERS、エボラはかなり致死率の高い感染症で、SARSとエボラはなんとか封じ込めましたが、COVID-19は、世界中に広がってしまいました。ところで、パンデミックが終わるというのはどういうことだか分かりますか?」

「パンデミック収束」とは具体的には何か

 「ウイルスが社会から消えるとか……」

 「パンデミックレベルで世界中に広がった病原体はまずきれいには消えません。その病原体が起こす被害が、社会にとって容認することが可能になった状態が、パンデミックの終わりですね」

 「そういえば、毎年季節性のインフルエンザで約1万人は亡くなっていますが、それでもインフルエンザのパンデミック、とは言わないですね」(※現在流行している季節性インフルエンザは“スペイン風邪:後述”や2009年にパンデミックを起こしたインフルエンザの子孫である)

 「そうです。その観点から現在のCOVID-19の状況はどうなっているか、をお話ししましょう」――と、峰先生はCOVID-19の現状の解説を始めた。

 まずワクチン、すでに日本の人口のかなりの部分が2回以上のワクチン接種を受けている。接種率は高齢者ほど高く、若年層はまだそれほど高くない。

 「つまり、高リスク群(主に高齢者)はすでにかなり手厚くワクチン接種を受けたということです」と、峰先生。

 「しかしワクチンの効果は半年から1年で消えてしまうということでしたが」

 「基本的にはその通りです。主にヒトに感染するコロナウイルスは現在7種類が知られています。うち4種類は、我々が“風邪”と呼んでいる症状を起こすもので完全に社会に定着しています。そして致死率の高いSARSを起こすSARS-CoVとMERSを起こすMERS-CoV、最新の7番目がCOVID-19を起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ですね。そして、コロナウイルスに対する免疫は定着しにくく、時間とともに減衰します。なので何度も風邪をひきますし、COVID-19も2回、3回とかかることもあります」

 「それなら、まだまだ大規模なワクチン接種を続けなくてはいけないのではないですか」

この記事は会員登録(無料)で続きをご覧いただけます

残り6606文字 / 全文8964文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

  • 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
  • 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
  • 日経ビジネス最新号12年分のバックナンバーが読み放題

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 峰先生に聞く「2024年、マスクはすべきかいらないか」 - 日経ビジネスオンライン )
https://ift.tt/UB5rphs

No comments:

Post a Comment