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Thursday, February 27, 2020

上白石萌歌、当たり役続々で「役名で呼んでいただける」幸せ実感 20代も役は選ばず精進 - 紀伊民報

 テレビドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)などの話題作に出演し、6月には主演映画『子供はわかってあげない』の公開を控えている女優の上白石萌歌。昨年からはadieu名義で音楽活動を本格的に開始し、『A-Studio』(TBS系)でサブMCも務めるなど、活動の場を着実に広げている。28日には20歳になる彼女が同日、初めての写真集が発売された。10代最後の素顔を切り取った写真集への思いや台湾での思い出、女優として転機になった作品などを聞いた。

【写真集カット】美脚を大胆披露…ナチュラルな表情や自然な笑顔の上白石萌歌

――台湾での撮影はいかがでしたか?

 いや〜楽しかったですね。私、写真展を観に行くのが好きで、いろんな展示を観た中ですっごく惹かれた1枚があって。それが台北の夜市をたくさんの人が行き交っている写真で、そこで台湾に興味を持ったんです。人の生活や営みがむき出しになっている感じが素敵で、そういう場所でキレイなお洋服を着させてもらったら、いい違和感が生まれるんじゃないかなと思って、今回の写真集は台湾で撮影したいと伝えたんです。

――撮影された写真を拝見して、その違和感にドキッとさせられました。台湾での撮影で、印象的なエピソードがあれば教えてください。

 撮影のあいだは結構ずっと食べていたんですけど(笑)、その中でも一番美味しかったのが屋台でたまたま見かけて食べた70円くらいの肉まん! とっても肉々しくて、肉汁もすごくて。それが台湾で食べた最後の食べ物だったんですけど、本当においしかったですね…。屋台って熱々を食べられるので、出来たて感もたまらなかったです。

 それと、私、大学で中国語の授業を取っているんですけど、緑のワンピースを着ているカットを撮っているときに、現地の方とちょっとだけお話できる時間があって。酒屋のおじさんみたいな人が誰かとテレビ電話をしていて「見せてください」って言ったら、生まれたての赤ちゃんと会話していたんですよ。それがすっごくかわいかったです(笑)。

――現地の方との交流もあったんですね。

 あと、台湾って結構曇りの日が多いんですけど、海で撮影した日だけは晴れて。夕陽がとってもキレイで、その中に自分の身を置くとすごくいろんな感情が生まれてきたんです。その瞬間が写真集に残せたこともよかったなって思います。

――写真集の発売が発表された際のコメントで、「自分の知らない表情に出会えた旅」とあったのですが、具体的にはどういった表情でしょうか?

 いつもお仕事で写真を撮っていただくときって、カメラを意識してしまうんですけど、今回は“意識しすぎないこと”を意識したんです。だから撮っていただいた写真を見ると「なんでこんな顔したんだろう?」って思い出せないくらい、いろんな表情があって。そういう写真を撮れたのはいいチームだったし、いい旅だったからだなって思います。

――ロケ地以外に、上白石さんから希望を伝えたことはありますか?

 写真が好きだからだと思うんですけど、自分の写真だけじゃなく情景もたくさん入れたくて。今はまだレイアウトの途中なので、このあとの話し合いでいろいろ言っていけたらと思っています。

――そういった編集作業にも携わると、出来上がったときの達成感は大きいでしょうね。

 いや〜そうでしょうね、きっと。これまで写真のセレクトに立ち会ったことはなかったんですけど、今回は何千枚もの写真を確認して、白い紙が真っ黒になるくらいファイル番号を書き込んで自分で選んだんです。やるからにはちゃんと苦労もしたいと思ったし、20歳ってどんどん自分の意思で動いていく年齢なので、その一歩前でこうやって意見をできる環境があってよかったなって思います。

 そして、いつもはいろんな演者さんがいる中にいる自分が、この写真集ではページをめくってもめくっても私しか出てこないので、その責任というか、怖さもありますね。だからこそ良いものにしたいなって思っています。

――現在、女優・歌手・バラエティーなど多方面で活動されていますが、上白石さんご自身が転機になったと思うのはどの作品ですか?

 絞れないんですけど…『ぎぼむす』、『3年A組』、『いだてん』ですかね。特に去年は本当に濃密な1年で、今までの人生で一番たくさんの人に出会ったんじゃないかなって思います。『A-Studio』では毎回ゲストの方を迎えたり、取材で人に会いに行くことも多かったですし、ドラマや映画の現場でも本当にスタッフさんに恵まれたなと感じました。それがとってもいい経験になったし、このお仕事ってこの出会いがその先に続いていくじゃないですか。そういうご縁をさらに大事にしたいなって思った年でした。

――観ている側としても『ぎぼむす』のみゆきちゃんや『いだてん』の前畑秀子さんなど、つい役名で呼んでしまうくらい、それぞれの作品での演技が強く印象に残っています。

 役名で呼んでいただけることは、実名で読んでもらえるよりうれしいです。『3年A組』では景山澪奈っていうフルネームをよく作中のセリフで出していただいていたんですけど、第1話の放送翌日に渋谷を歩いていたら「あ、景山澪奈さん」って話しかけていただいたことがあって、それは本当にびっくりしました。自分が思っている以上に観ていただいていることを感じたし、ネットリテラシーの話だったので、発信する側としても影響を考えなきゃなっていうきっかけにもなりましたね。

――写真集の発売日である2月28日は20歳のお誕生日、そして出演舞台『お勢、断行』も初日を迎えます。20代にむけて、女優として今後の理想像や挑戦したいことを教えてください。

 今までもいろんな役をやらせていただいたんですけど、20歳になると、欲も自分のこだわりも強く出てくると思うんです。その中でも自分では役を選ばずに、いただいたものには一生懸命取り組みたいと思っています。それこそ『いだてん』では、増量など準備が必要なのにもかかわらず、私にオファーをくださったっていうことが本当にありがたかったですし、これからもそうやって声をかけていただけるなら体を壊さない程度に(笑)、頑張りたいなって思います。

取材・文:東海林その子

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