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Thursday, April 2, 2020

マスク作戦はなぜ止められなかったのだろう - 日経ビジネス電子版

全6089文字

 政府がマスクを配布してくれるのだそうだ。

 このニュースをどう受け止めるべきなのか、いまだに自分の中で整理がついていない。

 なので、思いついた順序で、思いつくまま感想を書き並べることにする。こういう話題にはこういう断片的な書き方で対処するほかに方法がない。「こういう話題」というのはつまり、度外れてバカげた話ということだ。こんなバカな話をいじくりまわすのに、緻密な書き方や論理的な記述法がマッチするとは思えない。私はだらだらと書く。読者のみなさまも、できればだらだらと読んでほしい。

 全国5000万世帯に一世帯あたり2枚の布マスクを配布するという、このおどろくべき計画を聞いて、まず私が思い浮かべたのは、東京五輪の暑さ対策として発案されたいくつかのプランとの類似だった。

 これらについて、私は、昨年の9月に書いた当欄の記事の中で
 《多くの勤勉な日本人は、無駄な努力であっても何もしないよりはマシだと考えている。また、われわれはそう考えるべく育てられてきている。
 今回のあまりにも無駄な暑さ対策の発案と実験とその報道の連鎖は、そこのところからしか説明できない。
 おそらく組織委の中の人たちは、
 「ただ手をこまねいているよりは、たとえ役に立たなくても何かにチャレンジすべきだし、そうやって自分たちの身を捧げるのが主催者としての覚悟の見せどころだ」
 てな調子でものを考えている。なんと愚かな態度だろうか。》
 と断じた上で、さらに
 《私は、無駄な努力は人間を浅薄にすると思っている。無駄な努力は有害だとも考えている。 ─略─
 われわれの国を悲惨な敗戦に導いた愚かな軍隊を主導した人たちは、「松根油」という愚かな油を精製するべく必死の知恵を絞ってみたり、国民の鍋釜を供出させることで戦闘機を生産しようとしたり、ほかならぬ兵隊の生命身体そのものを武器弾薬とする寓話的なまでに愚劣な作戦行動に「神風特攻」という滑稽なタイトルを付けたりなどしつつ、最終的には負けるべき戦いを負けるべくして負けたわけなのだが、今回もまたわたしたちの愚かな組織委員会は、主要な人的資源をボランティアに頼りながら、ぶっかき氷と人工降雪機と朝顔による暑熱対策で8月の猛暑を乗り切り、3000万首都圏民による生活排水と糞便が随時流れ込む港湾内でのオープンエアスイミング競技の開催をなんとか無事に取り回し切るつもりでいる。
 われわれは、またしても愚かな失敗を繰り返そうとしている。
 「無駄な努力であっても、何もしないよりはマシだ」
 というわれら勤勉な日本人の多くが囚われているこの妄念を捨てない限り、来たる2020東京五輪は無駄な努力の品評会に終わるはずだ。》
 と、結論づけている。

 いまもこの考えに変わりはない。

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