2020年、シャープの製品が大ヒットを果たした。
ITmedia Mobileで取り扱うシャープの製品といえばスマートフォンAQUOSだが、今回取り上げるのは「マスク」。ご存じの通り、“シャープのマスク”が大きな注目を集めている。
新型コロナウイルス感染症の影響でマスクの品薄が続く中、立ち上がったのがシャープだ。同社は日本政府からの要請を受け、2月28日にマスクの生産を決定。3月31日に日本政府向けに出荷を開始し、4月21日に個人向けに不織布マスクの販売を開始した。
マスクは「SHARP COCORO LIFE」のECサイトでのみ販売しており、価格は50枚入りの1箱あたり2980円(税別、送料別)。先着順としていた当初は想定以上のアクセスが殺到して申し込みができない状態になり、抽選方式を採用している現在も倍率は毎週100倍超え。依然として大きな注目を集めている。
シャープは言わずと知れた家電メーカーだが、なぜ同社がマスクの生産、販売に力を入れているのか。疑問を投げかけてみた。今回は担当者へのインタビューは行っておらず、広報を通じてやりとりした。
なぜシャープがマスクを生産、販売するのか
マスクの生産を始めた経緯について同社は「日本政府からの要請のもと、日本政府のコロナ対策に懸ける強い思いと、当社がクリーンルームを保有している点がマッチし、話が進展しました。加えて、先に中国でマスクの生産実績がある鴻海からのサポートが期待できました」と話す。
生産拠点として選ばれたのが三重工場だ。ここは液晶ディスプレイを製造する工場だが、「空きスペースとなっていたクリーンルームが、衛生商品であるマスクの生産に適していた」という。クリーンルームとは、ちりやほこりが極めて少ない環境を実現する空間のこと。なお、マスクの生産を開始するにあたり、クリーンルームの空きスペースにマスク生産用の製造装置を新たに導入したが、既存の液晶生産を縮小したわけではないとのこと。
シャープにとって、マスクの生産・販売は初の事業だったことから、「生産、設備、販売など、複数の事業本部、子会社などと横断体制で協力し、マスクの生産・販売に取り組んできた」という。マスクは1日15万枚から生産を開始し、1日50万枚生産を目標に日々、生産量の増強に取り組んでいるが、現在の生産数量は公表していない。
アクセス集中で家電が動かなくなった原因は?
販売初日の4月21日に販売サイトにアクセスが集中して購入できない状況になったことは、良くも悪くも話題を集めた。なぜ、このようなことが起きたのか。
「お客さまにご迷惑をお掛けしないよう準備を進めていましたが、想定を大幅に上回るアクセスがあり、サーバ負荷の増大により申し込みができない事態になりました。具体的にはアクセス集中に対して接続数を絞るファイアウォール機能が働いたことが原因の1つでした」と同社は答える。
この対策として、4月27日に「先着順」から「抽選」へと購入方式を変更し、販売サイトへのアクセス集中を緩和した。マスクの購入にはCOCORO MEMBERSへの会員登録が必要だが、応募時にCOCORO MEMBERSへの会員登録を不要とし、当選後の購入時に会員登録をしてもらう形にしたことも、アクセス集中の緩和に効果があったという。当選者は購入希望者よりも必然的に少なくなるため、会員登録にかかる負荷を軽減できるというわけだ。
販売サイトにアクセスが集中したことで、シャープの家電が動かなくなるトラブルもあった。この原因について同社は「シャープのAIoT家電の動作において、COCORO MEMBERS(会員)であることを自動認証しています。一方、当初のマスク販売(先着順)では、購入する際にはCOCORO MEMBERSの登録を必要としていました。この両方のCOCORO MEMBERSの登録・認証に用いていたサーバは共用していたため、マスク販売での過大なアクセスにより、家電側の動作にも影響を及ぼすことになりました」と話す。
その後、マスク販売方式を抽選方式に変更し、当選後に会員登録をしてもらうことや、サーバにテクニカルな変更に加えるなどの対策により、トラブルは収束したとのこと。
一度申し込んだら次回も自動で抽選対象に
抽選方式では、一度応募した場合、それ以降の抽選販売についても自動で対象となるので、一度申し込めば、毎回当選のチャンスがあるというわけだ。各回の応募総数は、これまでの応募総数に新規応募数を足した数字になるため、抽選の回数を重ねるほど応募総数は増えることになる。応募総数は第1回が470万6385人、第2回が687万7310人、第3回が746万6896人、第4回が778万7472人、第5回が799万6071人、第6回が814万6289人、第7回が824万1181人、第8回が831万2238人。当選者数は第1回が4万人、第2回が6万人、第3回以降は7万人で、倍率は106.7〜118.7倍に及ぶ。
この方式だと、1人で複数回当たる人が出る一方、いつまでも当たらない人が出ることもあり得る。例えば一度当選したら、次はあらためて申し込みを必要にするか、抽選の対象外とする方が、より多くの人にマスクが行き渡るはず。なぜ、このような方式にしたのだろうか。
シャープは「応募された方へ何度もご応募いただく手間を取らせないため」と答える。毎回応募しない仕組みにすることで「結果としてサイトへの負荷軽減につながっていることも事実です」と同社。不公平感については「これまでの当選倍率をご覧いただきますと、全て100倍を超えていますので、2回当選される確率は、極めて低いと考えています」とのこと。
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なぜ「1箱2980円」に?
シャープのマスクの特徴については以下の4点を挙げる。
- 多気工場クリーンルームで製造
- ウイルス飛沫や微粒子も99%カット
- PM2.5や花粉の侵入を防ぐ「99%カットフィルター」の採用
- しっかりノーズフィッター採用
なお生産工程での工夫については「具体的な内容は控えさせていただきます」と明言を控えた。
もう1つ、特徴として注目したいのが、マスクに入っている「SHARP」のロゴだ。その理由は「シャープで生産を手掛ける製品でもあり、マスクにもSHARPロゴを明示することにしました」とシンプルな回答。パッケージにもSHARPロゴがある他、同社のCOCORO+サービスのロゴデザインであるハートマークを採用した。
1箱2980円という価格は単価にすると約60円。この価格は「マーケットプライスやコスト面などを総合的に判断して価格を決定しました」という。現在の相場では高いようにも思えるが、「現時点で価格を変更する予定はありません」とのこと。
現時点で生産を止める計画はない
シャープのマスクは期せずして“大ヒット商品”になったわけだが、マスク事業で同社に利益は生まれているのだろうか。この点については「『企業としての社会貢献』との認識のもと、日本国内におけるマスクの安定的な供給に少しでも貢献できるようマスク生産に取り組んだものであり、収支に関する回答は差し控えます」とのことだった。
マスク販売はいつまで続くのかも気になるところ。現在は店頭でもマスクを見かけるようになり、一頃よりはマスク不足は落ち着いてきた感があるが、「現時点で生産を止める計画はありません。生産期間も定めていません」とのこと。抽選についても「今後も継続する予定であり、現時点で何回までとは決まっていない」とのこと。また店頭での販売予定は「現時点ではありません」とのこと。
引き続き100倍を超える抽選に挑む必要があるが、シャープのマスクを入手できるチャンスはしばらく続きそうだ。
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June 25, 2020 at 10:52AM
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