(ブルームバーグ): 米不動産仲介会社コンパスのロバート・レフキン最高経営責任者(CEO、41)は、米マッキンゼーやホワイトハウス、ゴールドマン・サックス・グループという輝かしい場所でキャリアを築いてきた。しかし同氏が超富裕層に仲間入りしたきっかけは、不動産の新興企業を設立したことだった。
レフキン氏が2012年に共同で設立したコンパスは、ソフトバンクグループが「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じて出資しており、テクノロジーに強みを持っている。同社は3月31日に4億5000万ドル(約500億円)規模で新規株式公開(IPO)を果たしたが、IPO規模は当初目標の半分となり、価格は下方修正後の仮条件の下限だった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が有利に働いた高評価のスタートアップ企業に対する熱狂は冷めつつある。
レフキン氏はインタビューで、「決して評価額が目標ではない。資本調達を成功させることが目標であり、IPOを通じて素晴らしい投資家から数億ドルを確保した」と述べた。
コンパスの株価は上場初日の1日、IPO価格(18ドル)を12%上回る20.15ドルで終了した。時価総額は78億ドル。
ソフトバンクG出資の米コンパス、初値は公開価格上回る
コンパスはパンデミック下での住宅ブームや不動産関連技術に対する投資家の需要急拡大で恩恵を受けてきた。一方、従来からある不動産企業との差別化を図れず、黒字化へのシナリオが描けていないとの懐疑的な声もある。
レフキン氏は「黒字化への明確な道筋がある」と述べ、「当社はまだ急成長するが、より効率的に拡大していく」と続けた。
IPO価格に基づくとレフキン氏が保有するコンパス株約6%は4億7200万ドルに相当する。同氏は在職期間や株価パフォーマンスの条件次第で今後数年間でさらに1490万株を受け取ることができる。
コンパスは昨年、売上高が56%増加し37億ドルに上ったものの、2億7000万ドルの赤字を計上した。これに対し、センチュリー21などのブランドで不動産サービスを展開するリアロジー・ホールディングスは、年間売上高がほぼ2倍だが、時価総額は18億ドルにとどまる。
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