いつの時代もなくならない相続トラブル。「もっとはやく対策を始めていれば…」という声は尽きません。本記事では、日本の相続の現状について見ていきます。
相続トラブルは「お金持ちに限った話」なのか?
国税庁『平成30年分の相続税の申告状況について』によると、相続や遺贈などにより財産を取得した方について、相続税の申告状況の概要は次のとおりです。 ■相続税の課税対象となったのは 平成30年中に亡くなった方は50,638人(平成29年50,399人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は3,388人(平成29年3,269人)で、課税割合は全体の6.7%(平成29年6.5%)となった。 ■課税価格は 課税価格の合計は4,331億2,200万円(平成29年3,649億8,600万円)で、被相続人1人あたりでは1億2,800万円(平成29年1億1,200万円)となった。 ■税金額は 税額の合計は613億72,00万円(平成29年332億円)で、被相続人1人あたりでは1,811万円(平成29年1,016万円)となった。 ■相続財産の内訳は 相続財産の金額の構成比は、「現金・預貯金等」33.7%(平成29年37.0%)、「土地」25.0%(平成29年29.7%)、「有価証券」23.9%(平成29年15.3%)となった。 課税金額だけを見ると、なんとも「お金持ち」の話だと捉えがちですが、それは相続税に限った話です。被相続人の遺産をめぐるトラブルは、どこの家庭でも起きています。 事前の対策はバッチリと思っていても、いざ相続が発生すると揉めに揉めてしまうケースが後を絶ちません。特に「事実婚」の家庭の相続では、内縁のパートナーへの遺産をめぐり、骨肉の争いになってしまう危険性があります。 下記の例はその典型例といえましょう。持ち家で暮らしていた内縁の夫婦でしたが、夫の死去で悲劇が……。 “内縁関係の夫婦を長く続けてきて内夫が、病気により死去しました。 内縁関係の場合、内妻は相続人になることができないため、相続人は内夫の母親一人です。夫婦は、内夫名義の持ち家に住んでいましたが、内夫の死亡によって団体信用生命保険から保険金が下り、住宅ローンは消滅しました。 そんな折、相続人である内夫の母親から内妻に対して、「あなたにはこの家の相続権はないのだから、明け渡すように」との要求があり、内妻は激しく動揺しました。” 『老後の財産は 「任意後見」で守りなさい』より
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