【NQNニューヨーク=戸部実華】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比96ドル69セント(0.3%)安の3万3794ドル66セントで終えた。航空機のボーイングが大幅安となり、ダウ平均の重荷となった。ウクライナ情勢を巡る先行き不透明感から、様子見姿勢の投資家も多く、積極的な売買は限られた。
ボーイングが前日比5%下落し、1銘柄でダウ平均を59ドル程度押し下げた。欧米の対ロシア制裁による出荷減の業績への影響が懸念された。欧州各国はロシアの航空機に対して領空への乗り入れを禁止する制裁措置を決めた。ロシアは対抗して欧州の航空会社に自国の領空飛行を禁じ、航空便への影響が広がっている。こうした動きが航空機の受注に影響するとの警戒感も出た。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は3日、議会上院での証言に臨んだ。原油価格の急騰などを通じて「少なくともしばらくは物価に上昇圧力がかかる」との認識を表明した。市場ではウクライナ問題は米経済にとってインフレイベントになるとの見方が多い。今月以降、金融政策の引き締めが淡々と進められているとの観測が改めて強まった。
もっとも、ダウ平均の下げ幅は限られた。ウクライナとロシアの代表団は3日に2回目の停戦交渉に臨み、近く3回目の協議を開くことで合意したと報じられた。事態は流動的だが、協議が継続していること自体は投資家心理の支えとなった。
顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株が安い。スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株も安い。一方、小売りのウォルマートやバイオ製薬のアムジェンといったディフェンシブ株は買われ、ダウ平均を下支えした。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比214.075ポイント(1.6%)安の1万3537.941で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラ、動画配信のネットフリックスの下げが目立った。
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