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Thursday, September 15, 2022

マスク着用しない客を降車させ行政処分、バス会社に擁護の声…「お断り」しにくい実情も - 読売新聞オンライン

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 マスクを着用しない乗客を降車させた伊豆箱根バス(静岡県三島市)が国土交通省中部運輸局から行政処分を受けたことに対し、「処分が厳しすぎる」といった意見が同運輸局などに寄せられている。インターネットのニュースサイトなどへの書き込みもバス会社を擁護する意見が多い。ただ、路線バスでは非着用の客を「お断り」しにくい実情がある。(鍜冶明日翔)

 マスク着用を巡るトラブルは4月7日午前、伊豆の国市を走行中の路線バスで起こった。マスクを着用していない客が乗車し、男性運転手が車内放送で着用を求めた。注意された客は暴れたり、暴言を吐いたりするようなことはなかったという。ただ、着用の求めには応じなかった。

 運転手はバスを停車させ「降りてください」と言って降車させた。車内には約25人の客がいて混雑していたため、「迷惑がかかる」と判断したという。

 だが、公共交通機関は正当な理由なく乗車拒否はできない。道路運送法などで、泥酔した人や不潔な服装をした人などの乗車を拒むことはできるが、マスクに関する規定はない。

 航空業界や一部のタクシー会社は、感染拡大後に運送約款を変更し、マスクを着用しない客の乗車を断れるようにした。県内では、2021年1月以降、約110社あるタクシー会社のうち、13社が約款を変更した。

 一方、バス業界ではこうした約款の見直しが進んでいない。約款の見直しには認可が必要で、中部運輸局は「バス業界から約款変更の相談がなく、検討してこなかった」と説明する。航空機はフライト時間が長く、タクシーは車内が狭いという感染リスクがあるのに対して、バスは比較的広く換気が容易な上、路線バスの場合は乗車時間も短いことが、検討が進んでこなかった背景にあるとみられる。

 伊豆箱根バスは今後、約款を変更するか検討するという。だが、約款を変更したとしても、航空機やタクシーのように、非着用の理由を丁寧に聞き取ることは運行上難しい。同社の担当者は「他の客が乗車する中、着用しない理由を細かく確認するのは困難。基本的には今後も『お願いベース』になる」と話す。

 国内でマスク着用は義務ではなく、基本的に「任意」となっている。入国者数の上限が撤廃されれば訪日観光客が増加する可能性があり、着用を巡るトラブルが増加するおそれもある。国は、マスク着用などの感染対策をとらない人の宿泊を拒否できるようにするための法改正を目指している。

 県が示すマスク着用の目安によると、屋内で同居人以外の人といる場合、2メートル以上離れていて会話がない際は「不要」で、会話があったり、2メートル以内にいる場合は「推奨」としている。バス車内では、混雑している場合は「推奨」となる。

 県健康福祉部の後藤幹生参事は「会話やせき、くしゃみをしていない場合、換気された車内でのリスクはそれほど高くはない」と指摘する。非着用の人がいた場合、「着用できない事情があるかもしれず、一定の許容も必要だ。どうしても同乗したくない場合は、自分が降車するなどの対応をしてほしい」としている。

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