世界で最も裕福な人々の大多数には、2022年は忘れるべき1年となった。
お金が失われただけでなく、それは驚異的な金額だった。 ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、世界の富豪500人の資産は計1兆4000億ドル(約186兆円)近く減少した。痛手の多くは自ら招いたものだった。
暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXのサム・バンクマンブリード前最高経営責任者(CEO)はかつて暗号資産業界の神童と呼ばれたが、同社の経営破綻で160億ドルの資産は1週間足らずで吹き飛び、詐欺疑惑のための共謀などの罪で起訴された。
ロシアによる2月のウクライナ侵攻でロシアの大物実業家は制裁に直面。プーチン大統領が侵攻を命じた2月24日にロシアの富豪の資産は計466億ドル減少した。
ツイッターを買収した イーロン・マスク氏の資産は年初に比べて1380億ドル相当減少した。電気自動車(EV)メーカーのテスラが供給面の課題について警告した1月27日には、当時世界一の富豪だったマスク氏の資産は258億ドル減少。12月にはフランスの高級ブランドLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを率いるベルナール・アルノー氏に世界一の座を奪われた。アルノー氏も今年の厳しい環境の影響を免れず、資産は約160億ドル減少したが、マスク氏ほどではなかった。
コロナ禍の金融緩和を背景に資産がとてつもなく急増した資産家たちにとって今年は、広範囲にわたるインフレと中央銀行による積極的な金融引き締めが重なり劇的な資産減少の年となった。ほとんどの場合、増加幅が大きければ大きいほど減少も劇的だった。マスク氏とアマゾン・ドット・コムの ジェフ・ベゾス会長、仮想通貨交換業者バイナンス・ホールディングスの創業者 趙長鵬氏、メタ・プラットフォームズの マーク・ザッカーバーグCEOの4人だけで合計で約3920億ドルの資産が減少した。
とはいえ、ビリオネア層にとっては悪いニュースばかりではなかった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、インドの実業家 ゴータム・アダニ氏の資産はマイクロソフト創業者の ビル・ゲイツ氏と米資産家 ウォーレン・バフェット氏を抜いた。コーク家やマース家など 世界の富豪一族の一部も資産を増やした。
原題: Musk, Bezos, Zhao Lead Richest Billionaires’ $1.4 Trillion Loss(抜粋)
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