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Sunday, February 19, 2023

マスク着用緩和指針 「個人の判断」を損なうな - 福井新聞

kuebacang.blogspot.com

2023年2月20日 午前7時30分

 【論説】新型コロナウイルス対策としてのマスク着用を大幅に緩和する政府の新たな指針。適用は3月13日からで学校は4月1日の新学期以降だが、その前に開催する卒業式には児童生徒がマスクなしで出席できるように都道府県教委などに通知した。今春卒業する中高生はコロナ禍の下、入学時から同級生の素顔をほとんど知らないままにあり「せめて卒業式くらいマスクをはずせるように」との声が上がったのも理解できる。

 ただ、福井県内では県教委が「着用しないことを基本とする」との政府の考えに沿った通知を県立学校と市町教委に出したところ、「着用しない」とする学校と「着用する」に対応が分かれている。今後の議論で方針を変更する可能性があるとした学校もある。卒業式に関しては、式典で児童生徒同士が会話するシーンはほぼないだろうが、校歌や国歌斉唱をマスクなしで行えば、やはりリスクが高まるのは否めず、必要に応じて着用してもらいたい。

 「着用する」とした学校は大学受験への影響などを理由に挙げている。県内では季節性インフルエンザ警報が発令中で、感染への懸念もある。花粉症でマスクが手放せない人も出てくるはずだ。とりわけ、高齢の家族と同居していたり基礎疾患を抱えたりする児童生徒は不安を拭えないのではないか。学校側は一人一人の状況に配慮し、個々の意思を損なうことのないよう柔軟に判断してもらいたい。着用を巡るいじめにも目配りする必要があろう。

 指針は大型連休明けから新型コロナの感染法上の位置づけをインフルエンザと同じ「5類」に引き下げ、それに伴い国民が「脱マスク」に進むことを見越したといえよう。だが、第8波の1月の死者は1万人を超え、2月に入っても連日100人超に上る。感染者数自体は減少傾向にあるが収束には程遠い。数年は人口の数%が常時感染する状態が続くとの試算もある。

 岸田文雄首相はマスクの指針について聞かれ「専門家の意見を伺いながら検討してきた」と答えたものの、厚生労働省専門家組織の会合では異論が飛び交ったという。マスクの着用が感染抑制の一翼を担ってきたのは事実だし、マスクの着用継続が社会経済を回し続けることに何ら悪影響はないはずだ。

 5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)前に、脱マスクで先行する欧米並みにしたいとの首相や官邸の思惑があるとすれば本末転倒ではないか。ウイルスは今後も変異を続け、強い感染力で流行を繰り返す可能性は高いとされる。政府が「個人の判断に委ねる」としている以上、脱マスクを押し付けるようなことはあってはならない。

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