新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、5月に2類相当から5類へ緩和されることが決まった。
この3年、コロナ禍を過ごす中、感染者数の増減や新たな変異株が出現するたびに、行動制限や自粛というキーワードがあふれた。
感染すると仕事に影響するので外出を控えたり、人と会うのも躊躇(ちゅうちょ)したりした時期もあったが、周囲に感染者が増えるにしたがって、あきらめの気持ちが出てきた。いくら気を付けていても感染してしまうのだ。あらゆる感染症、そして病は努力でリスクは減らせても、ゼロにはできない。
ところでマスクやアルコール消毒をしていると、これまで気にならなかった箇所まで汚れているようで不安になる。神経過敏という2次的な問題も出てきた。
加えて人の目もある。たとえば日常的に利用するコンビニエンスストアや書店、仕事で出入りするテレビ局や出版社などには、必ず出入り口に消毒液が設置されているので、入るときは使用する。私自身も消毒液を持ち歩き、たびたび使っているので、移動するごとにわざわざしなくても…と思いつつ、見ている誰かに不安を与えないため、消毒する。こんなに滅菌していると、逆に体に悪くないか、と心配になるくらいだ。
仕事柄、マスクを外して人前に出る場面は多いが、周囲のスタッフはみなマスク姿だ。ただ3月13日から、マスクの着用は個人の判断に委ねられる(例外もある)。そこで仕事上、接することが多いヘアメークさんやトレーナーさんに聞いたら「仕事ではマスク着用を続ける」とのこと。
個人の判断とはいえ、それぞれが所属する企業、業種によってマスク着用は続くだろう。私は花粉症なので、花粉飛散の季節が終わるまでは着用するつもりだ。もう少し先の季節=夏はマスクなしで過ごしたい。
約3年にわたるコロナ禍でマスクや消毒は私たちを守ってくれたが、多分縛られてもいる。先が見えないのはいつも同じだ。手探りでも、なるべく縛られないでいきたい。
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【プロフィル】直球&曲球(中江有里
なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー。多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。文化審議会委員。
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