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Monday, May 1, 2023

学生の3割「マスクしたい」、コロナ終息後も 松山大教授が意識調査:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 【愛媛】松山大(松山市)が昨秋実施した意識調査で、学生の3人に1人が、新型コロナウイルス感染症の終息後もマスク着用を続けることに肯定的な回答を選んだ。コロナ禍が若者の心情に及ぼした影響が具体的な数値で明らかになった。

 「顔を見られたくない」。マスクの着用を続けたいと答えた学生のうち最も多かった理由だ。女子学生の過半数が着用の継続を望んでいた。

 調査したのは、松山大人文学部の市川虎彦教授(地域社会学)。「コロナ禍を経験した学生に共通する心情が反映されている」とみる。全学生の約11分の1にあたる499人が答えた。

 教授を驚かせたのは、学生が提案した質問「あなたは新型コロナウイルス終息後もマスクをしたいと思いますか、思いませんか」への回答。「したい」が10%、「どちらかというとしたい」は23%で3分の1が着用を続けることに肯定的だった。一方、否定的な回答の「どちらかというとしたくない」は30%、「したくない」は37%。女性に限ると、肯定的な回答は半数を超えた。

 継続派にさらに選択肢を示し、理由を尋ねたところ「顔を見られたくない」が38%で、「感染予防」の24%を上回った。女性は「顔を見られたくない」が47%に上った。

 調査では、「マスクをしていないと不安に感じるか」も尋ね、「不安」22%、「どちらかというと不安」38%だった。さらに「マスクでコンプレックスに思う部分を隠したいか」との質問では、「そう思う」「どちらかというとそう思う」が計49%、「コンプレックスはない」は7%だった。

 国は今年3月13日からマスク着用について「個人の判断に委ねる」とする方針を示したが、松山大では新年度も大半の学生がマスクを着用しているという。

 市川教授は「必要に応じたマスク着用の判断は欠かせないが、コロナ禍の中であった着用を強いる同調圧力が、今も学生の心にのしかかっていないか心配。若者ならではの柔軟さで積極性を取り戻してほしい」と願う。(戸田拓)

 新型コロナウイルスの地域や学生への影響について分析をしてきた市川虎彦・松山大教授(地域社会学)に「コロナ禍」を振り返ってもらった。

 ――感染者が少なかった初期は、1人発表されるたびに大きな反響がありました。

 「四国で最初に感染者として発表されたのは、客船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客だった徳島県の方でした。次いで高知県から県外に旅行していた人の感染が発表され、その人と同行していた方が愛媛県の初の感染者に。都会と違って、地方ではすぐどこの誰かが特定されてしまうこともありました。愛媛では2020年10月、個人の名を挙げて『感染者だ』と中傷するチラシを作った人が逮捕される事件も起きました」

 ――地域にはどのような影響が表れましたか。

 「外出自粛や時短営業要請などの影響で、繁華街では空き店舗が目立つようになりました。コロナの正体がわからなかった前期は、こういった対策を取ることは仕方がない面もありましたが、経済活動へのダメージは決して小さくなかった。その影響はまだこれからも表れるのではないでしょうか」

 「死亡者が高齢者に多いのは事実ですが、子どもや若者らも、多大な犠牲を払わされたと思います。コロナ対策で実施された特別定額給付金支給なども、結局は若い世代にその付けがいく構造です。低所得世帯とか非正規雇用で仕事がなくなってしまった方とか、本当に困っている人に届く支援の方法はなかったのだろうかと感じます」

 ――地方政治においては都道府県知事の存在も改めて注目されました。

 「知事が常に前面に出て状況を説明し、安心した方も多かったでしょう。全国知事会が国に対処を要求する局面もあり、市町村と国の間で中2階扱いをされていた都道府県が久しぶりに表舞台に出た感じがしました」

 ――コロナ禍の3年余を振り返ってどのようなことを感じていますか。

 「コロナ禍は、少子高齢化の中での経済の退潮をより加速したという側面があるように思います。高度経済成長期の人口構成だったら『早く経済活動を再開させろ』という声はもっと大きかったでしょうが、高齢化の影響で腰の重い国になってしまったのでは」

 「日本人には『黙食なんかやめさせろ』と訴える元気もなくなっていたように思います。基本的に政策的な議論はほとんどが不発で、誰もが経済停滞の長期化を当たり前ととらえていたのかもしれません」

 「コロナ禍で国家予算に多額の予備費を計上することが常態化しつつある中、コロナ対策の有効性の検証は厳密に行われるべきでしょう。逆にこのコロナ禍を契機として地方移住を考える人が増加し、人口の地方分散、地方活性化の流れが生まれることを望みます」

 ――松山大で行われた調査では、マスク着用をめぐってコロナ禍を経験した学生の慎重な姿勢が浮き彫りになりました。

 「マスクを外せるようになったら一斉に外すのかと思ったら、そうでなかったのが本当に驚きでした」

 「東京や大阪の学生よりおとなしめの子が多いかもしれません。でも若い人には柔軟性がある。社会が普通に戻ったら、積極的に活動するようになると思いたいですね」(聞き手・戸田拓)

     ◇

 四国4県で最初の新型コロナウイルス感染者の発表があったのは2020年2月25日だった。それから3年余の間、4県で延べ約91万人が感染し、2346人(5月1日現在)の死者が報告されている。

 政府は新型コロナウイルスの感染症法上の分類を、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる。各県とも毎日公表してきた患者数は週1回の定点報告に切り替える。

     ◇

 いちかわ とらひこ 1962年、長野県出身。94年から松山大に勤務し、2021年に松山大と愛媛大の南予地域共同研究プロジェクト「愛媛学を拓(ひら)く」で愛媛出版文化賞奨励賞。著書に「保守優位県の都市政治」(晃洋書房)など。

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