ツイッターを所有している米富豪イーロン・マスク氏は7月1日、ツイッターユーザーが1日に閲覧できる投稿数を一時的に制限したと発表した。「データが強奪されすぎている」ことへの対策だと説明している。
マスク氏は自身のツイートで日本時間2日朝、認証されていないアカウントが閲覧できるのは1日1000件までだと述べた。新しい未認証のアカウントの場合は1日500件。一方、「認証」マークが付いているアカウントは1万件まで閲覧できるという。
マスク氏は当初、これよりも厳しい制限を課すとしていたが、数時間後には方針を変更した。
この一時的な制限は、「データ・スクレイピングとシステム改ざん」に対処するためだとマスク氏は述べた。ただし、システム改ざんが何を指すのかは説明しなかった。「スクレイピング(scraping)」あるいは「to scrape」とは、何かをこすりとることを意味し、「プログラムがデータを収集する」というIT用語にもなっている。
1日には、ツイッターの内容を見るのに利用者がログインを要求されていた。これについてマスク氏は、「データが強奪されすぎて、通常ユーザーへのサービスが低下していた」からだと説明した。
その上で、「一時的な緊急措置」を取ったと述べた。
また別の投稿では、「数百件の(またはそれ以上の)組織がツイッターのデータを攻撃的なほどスクレイピングしている」と指摘。
その後のツイートで、「AIをやってるほとんどすべての企業が、スタートアップから地球上最大規模のいくつかの会社を含めて、大量のデータをスクレイピングしていた」、「いくつものサーバーを緊急にオンラインにしなくてはならないのは、かなり頭にくる」とも書いている。
マスク氏の言う「データ・スクレイピング」が具体的に何を指すのかはっきりしないが、人工知能(AI)企業が「チャットGPT」や米グーグルの「Bard」といったチャットボットを動かす大規模な言語モデルを訓練するために行う、大量のデータ抽出を指しているようだ。
データ・スクレイピングとは簡単に言えば、インターネットから情報を引き出すことを意味する。大規模な言語モデルの学習には、現実の人間の会話が大量に必要となる。チャトボッの成功には、高品質のデータから学習することが不可欠だ。ツイッターや掲示板サイト「レディット」などにある数十億件の投稿は、AIの訓練データとして非常に重要だとされており、AI企業も使用している。
しかしツイッターやレディットは、こうしたデータを有料にしたいと考えている。
レディットのスティーヴ・ハフマン最高経営責任者(CEO)は今年4月、米紙ニューヨーク・タイムズの取材で、AI企業の行動に不満があると述べた。
「レディットが抱えるデータの総体は本当に価値のあるものだ」、「だからといって我々がその有用なものをすべてそっくり、世界有数の大企業に無料で提供する必要などない」と、ハフマン氏は話していた。
ツイッターはすでに、ユーザーの「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)」へのアクセスに課金を始めている。APIは第三者アプリや研究者などがツイッターを利用する際に必要なもので、AI企業も使用している。
他にも、今回の制限の理由になり得る事柄はいくつかある。
マスク氏はこれまでも、有料サービス「ツイッター・ブルー」への移行をユーザーに求めてきた。マスク氏が、ツイッターのサービスを全て使い、投稿に無制限にアクセスするには課金が必要なモデルを考えている可能性もある。
インターネット上の障害を追跡しているウェブサイト「Downdetector」によると、イギリスでは1日午後4時12分(日本時間2日午前0時12分)ごろに、最大5126人がツイッターにアクセスできないと報告していた。アメリカでは同じ時間帯に、7461人が障害を報告していた。
イギリスのIT業界団体BCSのアダム・リオン・スミス氏は、ユーザーのスクロール時間を制限すると広告収入に影響するため、今回の措置は「非常に奇妙」だと指摘した。
マスク氏は昨年、ツイッターを440億ドルで買収。従来の運営を批判し、プラットフォームを同じ意見ばかりを増幅する「エコーチェンバー」にしたくないと話していた。
整理の対象にはエンジニアも含まれていたため、プラットフォームの安定性に対する懸念が高まった。
しかし、マスク氏はいくつかの不具合を認めながらも、障害はそれほど長くは続かず、サイトは問題なく機能しているとBBCに語った。
からの記事と詳細 ( ツイッターが閲覧制限、「データ強奪」への一時的対策とマスク氏 - BBCニュース )
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