2022年07月17日07時15分
【シリコンバレー時事】「世界一の富豪」と称されるイーロン・マスク氏が、簡易投稿サイトを運営する米ツイッター社を翻弄(ほんろう)している。440億ドル(約6兆円)での買収で4月に合意したが、同社の「契約違反」を主張し、3カ月で撤回。米電気自動車(EV)テスラの最高経営責任者(CEO)を務めるマスク氏の手腕でツイッターが長年の赤字体質を脱却するという期待は薄れた。
マスク氏は今月8日に買収撤回を明言。別人になりすました「偽アカウント」や、個人情報を盗み取る「スパム(迷惑)アカウント」が投稿サイトの利用者全体に占める割合は重要な情報だとして提供を求めたが、ツイッターが「要求を無視し、不当に拒否した」と訴えた。
ただ、マスク氏の翻意は、ツイッターとの合意内容が自分にとって不利に働くようになったことが最大の要因だとの見方が多い。
米株式相場はこのところ、景気後退懸念などを背景に低迷。ツイッターの株価も大幅に下落し、マスク氏が合意で約束した買い取り価格を3割程度下回る水準となった。
買収の「割高感」が強まり、マスク氏による投資家からの資金調達は難航。合意額を確保するなら、自己資金を積み増さざるを得なくなった。こうした状況の変化が、「経済的なことは気にしない」と豪語していたマスク氏のコスト度外視の姿勢を一転させたとみられている。
ツイッターは2013年の上場以来、18、19年決算を除いて最終赤字を計上し、収益力が問題視されてきた。マスク氏による買収撤回を受けて株価は一段と下落。わずか1日の取引で時価総額のうち約32億ドル(約4400億円)が消失した。
将来をもてあそばれた形のツイッターは、合意破棄は無効だとして、マスク氏に買収の実行を命じるよう求める訴訟に打って出た。9月半ばまでの早期判決を目指すが、マスク氏は反論。混乱が長期化すれば、ツイッターの経営をさらに圧迫する事態も予想される。
からの記事と詳細 ( 世界一の富豪、米ツイッターを翻弄 3カ月で買収撤回―マスク氏 - 時事通信ニュース )
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