米短文投稿サイトのツイッターが今月中旬から、ニューヨーク・タイムズ(NYT)など米メディアに所属する複数の著名記者や、競合するネット交流サービス(SNS)のアカウントを立て続けに凍結した。ところがツイッターのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は17日、一転してこれらのアカウントの凍結解除を表明した。巨大な影響力を持つツイッターによる特定の記者排除に「報道の自由はおもちゃではない」(国連事務次長)と反発が相次いでいる。
凍結対象になったのは、他に米紙ワシントン・ポストや米CNNテレビの記者など。これらの動きに先立ち、ツイッターはマスク氏が所有するプライベート機の運航履歴を公開情報に基づいて追跡するアカウントも凍結していた。このアカウントを運営していた大学生は、ドイツの短文投稿サイト「マストドン」で運航履歴を追い続けている。マストドンは、10月にマスク氏がツイッターを買収した後に利用者の「移行先」として注目されているが、マストドンがツイッターに開設する公式アカウントも凍結された。
マスク氏はツイートで「私を一日中批判するアカウントは全く問題ないが、リアルタイムの位置情報を公開して私と家族を危険にさらすのは良くない」と説明。NYTによると、今回アカウントが凍結された記者たちは、プライベート機の運航履歴を追跡するアカウントに関して記事を書いたりツイートしたりしていた。NYTは毎日新聞の取材に「アカウント凍結は疑問で残念なことだ。我が社も記者も何の説明も受けていない」と答えた。
ツイッター社幹部はロイター通信に対し、位置情報に関する情報の共有を禁止するよう個人情報保護方針を変更し、方針に違反した記者以外のアカウントも同様に凍結しているとメールで回答した。ただ、運行履歴追跡と関係のないアカウントも凍結されている。
マスク氏がCEOを務める米電気自動車(EV)大手テスラの欠点を指摘してきた米ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」のコラムニスト、リネット・ロペス氏は16日にアカウントを凍結され、AP通信の取材に「理由の説明はない」と語った。ロペス氏は凍結前の13日、テスラのトラブルを巡る2019年の記事も投稿していた。
国際社会からも非難が相次いでいる。メリッサ・フレミング国連事務次長(グローバル・コミュニケーション担当)は「報道の自由はおもちゃではない。民主主義社会の基礎だ」とツイート。欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のヨウロバー副委員長(価値観・透明性担当)はツイッターで、報道の自由を尊重するEUの関連法令に違反する可能性があるとして「制裁」を示唆した。
マスク氏は自らを「言論の自由絶対主義者」と称し、デマやヘイトなどを取り締まるツイッターの投稿規制を批判。過去には「私の最悪の批評家もツイッターに残ってほしい。それが言論の自由だ」ともツイートしていた。また、買収に際し、ツイッターの投稿規制について幅広い観点から議論する協議会を設置すると表明したが、実現していない。
ツイッターは、21年1月の米議会襲撃事件でトランプ前米大統領のアカウントを凍結していたが、マスク氏の買収後、再開を認めた。【大久保渉(ワシントン)、畠山哲郎】
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